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From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: 死人とは旅をせぬほうがよい。
Date: 18 Apr 2000 22:16:33 GMT
惠木と申します。
In article <8dg87t$8qj$1@nw042.infoweb.ne.jp>, eaaa8218@mb.infoweb.ne.jp
says...
>
>「デッド・マン」見ました。
>ジャームッシュは始めてなんですけど、
>なんだか・・よく分かりませんでした。
>ブレード・ランナー風音楽のシンクロや、
>動く絵の紙芝居をみせられてるような、
>編集の冥利はわかる(→ツモリ)なんですが・・
私は映画の「テーマ」には殆ど関心がありません。結局、映画
は「動く紙芝居」として楽しめるかどうかなんだと思う。
冒頭の走る機関車を俯瞰で捕らえたワン・カットを見て「ああ
現在の映画でもこんなことができるんだ」と感動したり、先住民
の住居のスペクタキュラー(こんな住居はかつて映画以外の他の
メディアでも見たことがない!)に圧倒されたりしませんか。
ただし、西部劇というジャンルへの諦念がスプーフ(ちゃかし)
として表出している部分は、この映画のスタイルの一貫性の無さ
だと指摘することも可能でしょう。
私もはっきり言って、ラスト、浜辺の遠景の演出なんかつまら
ないと思います。
--
惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: まずは北野武「HANA-BI」です。
Date: 21 Apr 2000 16:50:21 GMT
惠木と申します。aikoの「花火」も好き。
In article <8di4qg$5i5$1@nn-os105.ocn.ad.jp>, nysg12@oregano.ocn.ne.jp says...
>
>どなたか教えてください、まずは「HANA-BI」の素晴らしさを。
予め申し上げておきますが、職業的批評家の言説に失望されている方
に対して何らかの影響を与えようというような気持ちはありません。
とりあえず、『HANA-BI』に関する自分自身の感想を簡単にまとめて
おきたいと思い投稿させていただきます。
まず第一に『HANA-BI』は「悪くない」。私にとっては「面白かった」。
(ま、歯切れの悪い物言いは、「恐るべき傑作」という程の認識ではない
ということですが。)
では、何が「面白かった」のか。それは何よりも圧倒的な「画面」の
映画だからです。(私のように映画において物語性などどうでも良いと
考えている人間は、ストーリを否定する映画を少々過大評価する傾向が
あるようです。)
大杉漣のシークエンスをパラレルで挿入するという構成自体が物語を
経済的に語るというスタンスを完全に回避しています。どう考えても、
意味不明なフラッシュ・フォワードも同様です。シーンのつなぎ目を絵
の具等の静物で繋ぐという部分も古くさいカッティングでダサイです。
きっとこのようなプロット構成・編集上の問題でこの映画を素直に楽し
めない方も沢山おられるのでしょう。
多くの画面が物語を進める上で何ら機能しない、ということは、一見
決定的な欠陥です。
しかしながら、大杉漣が花屋の前で佇んだカットに挿入される絵画の
イメージの連鎖なんかは、圧倒的な映画的スペクタキュラーを感じます。
映画においてかつてこのような絵画の使われ方がなされた例を思いつく
ことができません。これが至福とまで言うと大袈裟だとは思いますが。
この北野武の挿入画を肯定的に捉えるられるかどうかが1つのポイント
なのだと思います。
自嘲的に記すなら、夜の雪上の車のシーンや、ラストのビートたけし
と岸本加世子の抱擁から始まるクレーン移動なんかは、衒学的に映画を
楽しんでいる私などには、溝口を想起させるシークエンスショットで、
「おおやってくれるやん」と、嬉しくなる、なんてこともあります。
私の感覚だけで言っても、北野の挿入画を好きになれなくて、溝口の
映画を見たことのない人と、私とでは、『HANA-BI』に対する思い入れ
は大きく隔たるのでしょうね。
--
惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: 男はつらいよ (Re: 『切腹』 と 『上意討ち』)
Date: 22 Apr 2000 22:37:10 GMT
惠木です。
In article <8dsooo$ldu$2@news.pep.ne.jp>, miyahara.hide@pep.ne.jp says...
>
>完全な私見ですが、森崎東はどうも松竹の悪いドロ臭さを背負
>ってて、前田陽一は松竹の良い洗練されたところがある監督に
>思えます。
寅さん併映とは関係なく書かせていただきます。
私は前田陽一の処女作『にっぽんぱらだいす』が大好きです。赤線を舞
台にした女性映画で少々甘めの演出ですが、実に堂々たるものでした。
遺作『新唐獅子株式会社』も、めったに行かない映画館で観ております。
往年のパワーは無いにしても、安定したいい演出でした。麿赤児が素晴
らしい。野球場を機能的に使った映画としても素晴らしい。
森崎東を「松竹の悪いドロ臭さ」と書かれると、一瞬カチンときて、
大罵倒反論を書こうかとも思ったのですが、「ま、そういう感想もあり
だなぁ」と思い直しました。しかし、私は森崎のあの毒気と暴力性が大
好きです。中でも最高に好きなのは『喜劇・女は男のふるさとヨ』で、
私の思い入れ度合いとしては、日本映画を10本選べと言われたら、必ず
入れるほどです。或いは、黒澤明よりも森崎東の方が好き、と言った方
が、思い入れが伝わるでしょうか。
--
惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: ラブコメディーのおすすめを 教えてください
Date: 22 Apr 2000 23:53:48 GMT
惠木と申します。
In article <8ds27q$1kg$1@nn-tk102.ocn.ad.jp>, takoichi@wonder.ocn.ne.jp says...
>
>こんにちは
>見終わった後に 元気の出るような ラブコメディーが好きで
>古くは「アパートの鍵貸します」や 最近は 「メリーに首ったけ」
>などは 好きな作品です。
> どなたか おすすめの ラブコメディーがあれば 教えてください
『極楽特急』('32 ルビッチ)
『赤ちゃん教育』('38 ホークス)
『フィラデルフィア物語』('40 キューカー)
『いちごブロンド』('41 ウォルシュ)
『スミス夫妻』('41 ヒッチコック)
『奥様は魔女』('42 クレール)
『静かなる男』('52 フォード)
『女は女である』('61 ゴダール)
『ねえ!キスしてよ』('64 ワイルダー)
『夜霧の恋人たち』('68 トリュフォー)
『緑の光線』('85 ロメール)
#やっぱり、1940年前後に集中するんですよね。この分野の傑作は。
ワイルダーの『ねえ!キスしてよ』を入れるかどうか迷ったけど、
(入れたから、中途半端な11本になってしもた)ワイルダーの中で
異彩を放つエロティックさが大好きです。
#近作では『アウト・オブ・サイト』がいい。おっとラブ・コメと
は言えないか。
--
惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: ヘンなキャラ(Re: 『スリーピー・ホロウ』&『デッドゾーン』(ネタバレなし))
Date: 23 Apr 2000 22:02:26 GMT
惠木です。「おまけ」へのフォロー。
In article <8duqh6$k61$2@news.pep.ne.jp>, miyahara.hide@pep.ne.jp says...
>
>おまけ
>前の会話で「クリストファー・プラマーもサウンド・オブ・ミュージック
>のイメージが強いけど、他の映画はヘンなのばかり」ということにも
>意見が一致しました。
>私がたまたま見た数本の映画は、確かにヘンな役だったので意外
>な印象を受けた記憶があります。だけどホントにクリストファー・プ
>ラマーってヘンなキャラクターばかり演じているのでしょうか。
『空軍大戦略』(1969)とかは、まともだった気がするけれど、
ジョン・ヒューストンの傑作『王になろうとした男』(1975)の
キップリング役の頃になると、既にヘンなキャラクターの萌芽が...。
--
惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi)
Newsgroups: fj.rec.movies
Subject: Re: ヴァーホーヴェン〜クローネンバーグ
Date: 28 Apr 2000 12:16:26 GMT
惠木です。『ビデオドローム』も大変面白かったのですが...
In article , pop_elfin@hotmail.com says...
>
>『イグジステンズ』はどうも『ビデオドローム』の発展形のようです。
>で、クロネンバーグ入門ってことなら一番まともな『ザ・フライ』が
>よろしいかと…あ、マジでこれが一番まともなんですよ…(>_<)
>ま、『スキャナーズ』でもいいけど…頭が爆発するかも…笑
>他のはちょっと…汗
私は『戦慄の絆』をお薦めしますね。私の感覚では、これが、
一番風格がある。まともかどうかは疑わしいですがね。なんと
いうか、ヒッチコックの『レベッカ』のような、文芸映画的な
風格があるというか。(ちょっと言い過ぎか)
--
惠木
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