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From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 『山椒太夫』(Re: 景色と音楽のきれいな映画) Date: 31 Aug 1999 23:09:20 GMT 惠木です。fj.rec.moviesで『山椒大夫』のスレッドが続くなんて! In article <7qg1ql$nmc$1@hisgw.hitachi-his.co.jp>, hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp says... >『山椒太夫』のラストは、親子が手を取り合って再会を喜ぶシーンから、1カットで >日本海の岸辺の岩に波しぶきがかかるところに繋がるんでしたっけ? >『雨月物語』のラストは鮮明なのですが、『山椒太夫』については >涙の記憶はあっても、あいまい化してます。恵木さんあたりに伺わないと・・・。 > >『気狂いピエロ』についてもダイナマイトの爆発の煙から水平線へパンして >ランボーの詩が読まれるところで終わったような記憶がありますが、クレーンじゃ >なかったようですし。  『山椒大夫』も『気狂いピエロ』もそのラストカットで海へパン した記憶しか呼び起こさなかったのですが、鈴木さんの投稿で、 少々思い出しました。  『山椒大夫』のラストは、確か田中絹代と花柳喜章を高めの俯瞰 でとらえ直したカットから砂浜を左へパンして、岸辺の大きな岩を バックに「終」が入りました。ですから、海へパンしたとは言えな いかも知れません。俯瞰の高さから言って、クレーン撮影だと思い ますが、厳密に移動だったかパンだったかは記憶があいまいです。  『気狂いピエロ』の方は鈴木さんの記憶通りでしょう。こちらの 水平線へのパンは、右へパンして、殆ど太陽光線をとらえたところ でフィクスしました。 >#最近は映画から遠く離れてしまって、もうここへの投稿も引退ですわ。 #私だってずいぶん映写機の光から遠ざかってしまっています。  何度も引退しようと思ったけど、やっぱり戻ってくるんだよね。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: [Q]三船はなぜ黒沢映画に出なくなったのか? Date: 2 Sep 1999 14:39:57 GMT 惠木です。 In article <7qj1bi$5i9$1@news.pep.ne.jp>, miyahara.hide@pep.ne.jp says... > >文春文庫から出ている異説・黒沢明という本の中で >白井佳夫が、少しだけ触れていて「三船の件に関し >て、黒沢は一切外部に話したことがない」と言ってま >す。 >白井佳夫レベルでそういう事を言ってるようでは、 >たとえ黒沢が側近に話したことがあっても我々一 >般人の耳には届かないでしょうねぇ。 >友人の黒沢マニアに聞いても「あれは謎なんだよ >ねぇ」と言ってますし。  確か『影武者』の公開前のインタビューで黒澤明が、 「動きのにぶくなった三船にこの役は任せられない」と言っ ていた記憶があります。  個人的な確執はどうあれ、完全主義者の黒澤ですから、 三船でないとできないキャラクタリゼーションなら、三船 にやらせたのではないでしょうか。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 泣ける映画を紹介してください Date: 2 Sep 1999 14:49:24 GMT 惠木と申します。 In article <7ql6po$rvj$1@bisdpro.bisd.hitachi.co.jp>, itoh@mash.co.jp says... > >レンタルビデオ化されていて、泣けるような感動する映画を探しています。 >私はこれで大泣きした!というような作品を紹介して下さい。 (略) >先日別れたばかりで、内面は思いっきり泣きたいのに涙が出てこないの >です。(ドライアイ?)  成瀬巳喜男の『乱れる』(1964 東宝)  演出で観客の心を揺さぶる術がこれだ!という映画です。  二度ある、加山雄三との電話のシーンで見せる高峰秀子の 思い詰めた表情、その視線の演出のたまらなさ!  少なくとも私には、叶わぬ恋、すれ違う男女の映画として 世界最大級の作品だと思います。 #この映画を見てしまうと、これ以上の悲しい恋路はないと  思えるよ。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 西部劇 Date: 5 Sep 1999 00:10:16 GMT 惠木@西部劇ファンです。 In article <7qpkuh$evk$1@knsv02.akina.ne.jp>, y.u.u.@akina.ne.jp says... > >皆様、お世話様になっております。 >Nobuoです。 > >私、実は西部劇が好きなんですけど、 >もう最近はめったに作られなくなりましたね。 >お金がかかってあんまりヒットしないんですかねえ。 > >私が映画館に行くようになったのは1976年ごろからですけど >今までに映画館で見た西部劇と言ったら3本しかないです。 イーストウッドは見なかったの?1980年代以降でも、  『ペイル・ライダー』(1985)  『許されざる者』(1992)  という2本の大傑作があるじゃないですか。2本とも、 『天国の門』クラスの映画史に残る作品です。 >ああ、西部劇見たいな。 >東京にいた頃は、12チャンでよくジョエル・マクリーとか >ランドルフ・スコットとか見てたなあ。 > >ちなみに、一番好きな西部劇はなにかな? >「ワイルドバンチ」か、「真昼の決闘」か、 >どっちかだな。  『真昼の決闘』? 文脈からいって、『昼下がりの決闘』の 間違いじゃないんですか :-) -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 日本映画について Date: 6 Sep 1999 15:26:52 GMT 惠木と申します。 In article <7r07gu$1vi$1@nw041.infoweb.ne.jp>, fwje5872@mb.infoweb.ne.jp says... > >日本映画の特質について >背中描写、ローアングル、陰翳視がその特徴といわれているようですが、 >それがどのような具体的な効果を及ぼすか知っている人はおりませんか。 >一般論でも、個人的な意見でも構わないです。  個人的な意見ですが...マキノ正博の『鴛鴦歌合戦』でも見て、 その暴力的な偏見を払拭して下さい。  あるいは、溝口健二の俯瞰移動や、成瀬巳喜男の自由自在な カメラアングルを見てほしいと思います。 #背中描写もローアングルも日本映画の特質じゃありません。  ましてや、「陰翳視」とは何ぞや?また、日本映画と一口に  言っても、サイレント期から、北野武や黒澤清までパースペ  クティブに捉えようとしているのですか? >ローアングルに関しては人に聞いたのですが >小津などは地面を掘ってまで撮影したそうで。 >なぜそのような撮影法をとったのか。 >もちろん自分の目で確かめたいので、 >これらの特質が認められる作品をいくつか紹介してもらえると嬉しいです。  小津の作品なら、ちょっと調べればいくらでも見ることが できるでしょう。小津の、「陰翳」という言葉とはかけ離れた、 世界映画史上類い希な「幸福感」にどうか浸って下さい。 #個人的な小津のお薦めは遺作『秋刀魚の味』か『お早う』 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 西部劇 Date: 6 Sep 1999 16:26:38 GMT 惠木@西部劇ファン、ホークスファン、デュークファンです。 In article <7qvfau$hri$1@knsv02.akina.ne.jp>, y.u.u.@akina.ne.jp says... > >私も、ジョン・ウェインは好きです。 >ほとんどTVでしか見ていないので >吹き替えは、確か「仮面ライダー」の >(今は亡き)おやっさんだったと思います。  小林昭二ですね。納谷悟郎で吹き替え直して欲しくない と私も思います。 >アカデミー賞を取った「勇気ある追跡」で >アイパッチをして、手綱をくわえて、なんかライフルを >拳銃みたいに持ってたのが印象に残っています。  ウィンチェスターを片手で回すシーンは『駅馬車』の リンゴ・キッド登場シーンの焼き直しですよね。  さてさて、フォード、ホークス、ペキンパー、イース トウッド以外の監督の西部劇ベスト10をどさくさに紛 れて書いときましょう。一監督一作品という制約を課し ます。(順不同、思いつくままです)  『西部の王者』ウィリアム・ウェルマン  『西部魂』フリッツ・ラング  『死の谷』ラオール・ウォルシュ  『裸の拍車』アンソニー・マン  『インディアン渓谷』ジャック・ターナー  『ワイルド・アパッチ』ロバート・アルドリッチ  『ギャンブラー』ロバート・アルトマン  『天国の門』マイケル・チミノ  『七人の無頼漢』バッド・ベティカー  『白昼の決闘』キング・ヴィダー  『大砂塵』ニコラス・レイ  『スパイクス・ギャング』リチャード・フライシャー  『勇者の赤いバッジ』ジョン・ヒューストン #あっという間に実は13本! -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 『山椒太夫』(Re: 景色と音楽のきれいな映画) Date: 8 Sep 1999 08:47:14 GMT 惠木です。終わったと思ったスレッドですが、山本さんも登場した ことだし、『HANA−BI』に関してひとつだけフォロー。 #『気狂いピエロ』と溝口の話題だもの、山本さんが現れないはず  がないと思っていたのですよ。:-) In article <37C9534F.6BB50F79@ceres.dti.ne.jp>, kwgch@ceres.dti.ne.jp says... > >この『山椒太夫』のラストを,ゴダールが『気狂いピエロ』のラストで引用し 、さらに >それを北野武が『HANA−BI』の >ラストで引用していると何かで読んだような気がするのですが、 >果たしてこれは本当なんでしょうか?  私、『HANA−BI』のDVDを借りてきて昨日見ましたです。 #ストイックに映写機の光でしか映画を見ない山本さんの前では  お恥ずかしい限りですが。  『HANA−BI』のラストシーンの海への移動は『山椒太夫』 そっくりですね。抱擁するビートたけしと岸本加世子をクレーン で俯瞰にとらえて、そのまま緩やかに浜辺を右へ移動しました。 構図や移動のリズムまで『山椒太夫』そっくりだと思いました。  ただし、ラストカットは、井子ちゃんのバストショット。 #『軽蔑』はビデオレンタルで見ただけで、ラストが全然思い出  せまへん。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 『山椒太夫』 (Re: 景色と音楽のきれいな映画 ) Date: 9 Sep 1999 22:46:17 GMT 惠木です。 In article <7r71d6$ro8$1@nw042.infoweb.ne.jp>, eaaa8218@mb.infoweb.ne.jp says... > >で「山椒太夫」は観たと思うんですけど(童話でも泣いたくらいだから、かなり涙し >たはず・・)でもほとんど記憶になく、同じく田中絹代とススキ野(?)と聞いてす >ぐ「雨月物語」は思い出しました。この映画を見た時は情景よりも話しそのものに夢 >中になってたような、元来妖怪ばなしが好きなもので(笑) >同時期にみた黒澤の「羅生門」と比べてこちらの方に強く引き込まれた記憶がありま >す。犯されるよりたぶらかす京マチの役柄のせいでしょうかネ(笑)  私も、『羅生門』より『雨月物語』の方が圧倒的に好きです。 田中絹代が落ち武者に惨殺される俯瞰移動のなんと冷徹な眼差し! 私は移動撮影という言葉を聞くと、真っ先にこのシーンを思い 出すくらいです。 >「気狂いピエロ」は何がなんだかわからん、でパス(恥) >#途中突然ミュージカル化するあれは何??  いろんなことが突然始まるからいいんじゃないですか :-) >ヌーベルバーグ監督たちの溝口と小津の受け取り方の違いは初耳で、 >大変興味深く拝見しました。 >ヨーロッパは小津一辺倒だと思い込んでいたので(無知) #ほんとはここだけフォローしたかった。  ヨーロッパで小津安二郎の評価が再燃するのは1970年代以降 です。フランソワ・トリュフォーも後年は小津を評価していた はずです。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 気になる名脇役 Date: 15 Sep 1999 02:53:17 GMT 惠木と申します。 #こういう話題で、誰もブシェーミをあげないって珍しいね。 In article <19321-37D916EB-93@prereg-4.iap.tokyo.webtv.ne.jp>, arkray@webtv.ne.jp says... > >主演を支える名脇役、数分しか登場しなくてもミョーにインパクトのある >俳優や数多くの作品に登場してるに顔だけで名前を覚えてもらえない俳優 >など、気になる脇役を教えてください。  じゃ私は、ピーター・ストーメアをあげましょう。  『ファーゴ』ではブシェーミの相棒役。『アルマゲドン』では ロシアの宇宙飛行士役。(実はこの2本しか見ていない、と思う)  古い俳優をあげさせてもらうなら、ウォルター・ブレナンだとか バリー・フィッツジェラルドやウォード・ボンドとか、田中春男、 進藤英太郎...キリが無いのでやめます。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 教えて下さーいッ!! Date: 26 Sep 1999 02:16:47 GMT 惠木と申します。 In article <7sjqcp$nnc$1@nw041.infoweb.ne.jp>, fwik9517@mb.infoweb.ne.jp says... > > >みほ みほ wrote in message >news:10490-37ED4EBA-161@prereg-3.iap.tokyo.webtv.ne.jp... >> デビット ボウイ が出演した映画を 全て知りたいん >> ですーっ! > >スコセッシの「最後の誘惑」にポンテオ・ピラトの役で出ています。 >うはははははははは。 >(ハーヴェイ・カイテルのユダとかバーバラ・ハーシーのマグダラの >マリアとか、この映画根本的にキャスティング間違ってると思う)  スコセッシの『最後の誘惑』、私はとっても面白かったです。  バーバラ・ハーシーの「マグダラのマリア」は確かに失望した んだけど、"悪魔"の描き方が素晴らしい。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: おすすめのドンパチ Date: 27 Sep 1999 14:02:19 GMT 惠木と申します。 In article <7sg23v$gjg$1@news2.dti.ne.jp>, h-iron@remus.dti.ne.jp says... > >手に汗握るドンパチ映画で、オススメあれば教えて下さい。  一瞬で片づく銃撃戦演出の白眉はジョン・フォードの『幌馬車』 のラストシーンじゃないでしょうか。  ベン・ジョンソン、ハリー・ケリー・Jr、ワード・ボンドの3人 の内、拳銃はハリー・ケリー・Jrが持っていた一丁だけで、悪漢5、 6人をあっという間にやっつけてしまいます。  あと、近作のドンパチ映画で最も感心したのはHakumeiさんも上げ ておられるけれど、『フェイス/オフ』でしょうか。  オーソン・ウェルズ『上海から来た女』のミラー・ルームを真似 たシーンから続く、鏡を挟んだトラボルタとニコラス・ケージの対決 シーン。うーん、映画的! -- 惠木
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