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From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 映画における決闘シーン Date: 6 Jan 1999 17:23:09 GMT 惠木です。 In article <76uv5q$ita$1@hisgw.hitachi-his.co.jp>, hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp says... >『荒野の決闘』はフォードにしては並みの映画でしょうが、駅馬車の >巻き上げる土煙に視界が失われ、埃を吸ったビクター・マチュアが、 >咳ごんだために撃たれてしまうシーンなど、実に素晴らしいと思います。  ラストの決闘、素晴らしいですよね。この馬車を横切らせる演出は、 『幌馬車』WagonMastar の決闘シーンでも使っていました。 #『幌馬車』の決闘シーンのキレの良さも凄いです。ベン・ジョンソン、  ハリー・ケリー・ジュニア、ワード・ボンドの内、もともと、拳銃は  ハリー・ケリー・ジュニアが持っていた一挺だけで、5,6人の敵を  あっと言う間に片づけてしまう!  先の投稿では、ちょっと天の邪鬼になり、乱暴な物言いをしたのです が、冷静に天の邪鬼の原因を考えてみたいと思います。  『荒野の決闘』に関する言説というと必ず「詩情豊かな」という言葉 が出てきます。確かに、ヘンリー・フォンダの、あの足の長い体躯を、 椅子と柱を使って横の構図に捉えるシーンから始まって、香水の香りに 関する愉快なやりとり、そしてクレメンタインと腕を組んで教会へ歩い ていく歩度の緩やかさへと繋がる一連のシーンの豊かな時間表現は、疑 いなく最高の演出だと思います。  しかしですよ、活劇としての西部劇を偏愛する者としては、このジャ ンルに文芸映画のような緩やかなリズムなど不要だし、詩情なんかより 目の覚めるような暴力を描いて欲しいと思うのです。  あるいは、ラストに素晴らしい決闘シーン(暴力シーン)を持った映 画なのに、床屋から始まって、一度見たら忘れることのできない愉快な ダンスシーンへと繋がる詩情豊かなシーンばかり誉められることの居心 地の悪さから、少し乱暴な書きようになったのかも知れません。 >> だって『荒野の決闘』は西部劇というより、フォードのFOX時代 >>の文芸映画、『我谷は緑なりき』や『怒りの葡萄』『タバコ・ロード』 >>の系譜ですからね。 >アープ兄弟の父親が画面に出ないという点が違ってますね。 >でも父親のために弟の仇討ちを決意する兄弟たちの結束という点や、 >敵役のクレイトン一家(?)の父親の情愛という点では、家族の絆の >強さが共通テーマといえなくもないような・・・。  クラントンの親父、ウォルター・ブレナンが決闘の後、やっつけられ た息子達の名を呼ぶシーンも忘れられませんね。 >『我谷は緑なりき』はフォードのマイ・ベスト・ワンで涙無しには >見れないのですが、小津がこれを見た年に『麦秋』を発表していることを、 >最近小津の日記を読んで発見しました。  私も、『わが谷は緑なりき』の前半、炭坑から帰ってくる男達を迎え 入れる母親や、食事のシーンで父親が家族の皿へ、シチューだかなんだ かを分け入れる一連の部分で、もう涙が止まらなくなります。こんなに 幸福感溢れる画面は他にないのではないかと思えます。 >FOX調ってどういう共通特徴があるんでしょう?農民や西部の田舎を >舞台にしたものが多かったとか?  不勉強で、このご質問への回答は持ち合わせておりません。どなたか 詳しい方がおられれば、ご教授下さい。 >> 西部劇ファンたるもの、『荒野の決闘』のような香水の芬々たる映 >>画は唾棄すべきです。西部劇ファンはラオール・ウォルシュの『遠い >>太鼓』におけるクーパーが髭をあたったシーンこそを愛すべきなのだ! >あの「砂漠の花の香りがするぜ・・・」、「そりゃ俺のだ」ってな >ワード・ボンドとのやり取りも面白かったですけど。  私の記憶では、ワード・ボンドやティム・ホルト(ワイアットの弟達) が来て「なんか臭わないか?」というやりとりがあり、その後、クレメ ンタインがやって来て「砂漠の花の香りがします」という台詞が入った ように思います。「that's me」の台詞の間の絶妙なこと! #結局『荒野の決闘』を誉めてしまっている...。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: ジョン・ウエィン(西部劇の復活) Date: 19 Jan 1999 22:19:05 GMT 惠木@ジョン・ウェインのファンです。 In article <77u81p$5qn$1@hisgw.hitachi-his.co.jp>, hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp says... > >鈴木@荻窪です。 >Masato Shinohara wrote in message <77nier$aa0$1@saint.win.or.jp>... (略) >>ウェインの歩き方やけんかの振り付けは彼が生み出したものであり、以後西部劇の >>模範となります。ローリング・ウォークという言葉はまだ残っているでしょうか。 >>ヤキマが考え出したと聞きました。 > >あの歩き方もそうなんですか?初耳です。たしかに『果て無き航路』などでは、 >あの長足で砂を巻き上げる独特の歩き方はしてなかったようです。 >あの歩き方がきわめて魅力的に描かれているのは『静かなる男』だと思います。  ウェインの歩き方やけんかの振り付けが西部劇の規範となった、 というのは私も初めて聞きました。  しかし、ウェインの歩き方は彼独特のもので、他の役者に同じ ような歩き方を見た記憶はないんですけど... #あ、『レオン』のジャン・レノ。というのは冗談 :-)  『果てなき船路』のウェインは、そもそも歩いていた場面の 印象が希薄です。  『静かなる男』の教会のシーン。中央の通路を彼が肩を揺ら しながらゆっくりと歩いていく様はまるでロボットのように戯 画化されていました。  あと私が忘れられないのは、やっぱり、『捜索者』のラスト カットで体全体をローリングさせながら画面後方へ去っていく 場面でしょうか。 >『ラスト・シューティスト』(The Shootist)でも、ローリング・ウォークして >ましたかねえ?歩幅が小さくなってたような?末期ガンで腰が痛い老ガンマンの >役でしたから。  『ラスト・シューティスト』も彼が歩いていた印象が希薄。 ローレン・バコールと一緒に馬車に乗ったシーンや、酒場の カウンターにもたれていたカットなどがすぐ思い浮かびます。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 歩き方(西部劇の復活) Date: 25 Jan 1999 18:28:09 GMT 惠木です。行の途中から引用してしまいます。m(_._)m In article <78fjjo$p3o$1@saint.win.or.jp>, sid10286@first.win.or.jp says... >(略)ところで、ジョン・ウエィ >ンがお好きということですが、「真昼の決闘」はどうでしょう。ウエィンがこれ見 >て憤慨したというやつです。僕も、ずいぶん前ですがテレビで見たときに、変な映 >画だなと思ったんです。もし、ウエィンがお好きならこの映画の奇妙さをお感じに >なりませんか。でも「真昼の決闘」は音楽と共に名作中の名作と言われていますよ >ね。僕は、クーパーというのは西部劇にあってないと思っているんです。特に歩き >方が悪い。カメラのクロスビーは凄い人ですけど、これまた好きにはなれません。  まず、『真昼の決闘』に関して。ホークスやウェインが怒ったのは (あるいは『リオ・ブラボー』を作る気にさせたのは)情けない保安 官の言動なのだと思うのですが、私のこの映画に対する感想は単純に、 「やたら時計のカットが出てきて興ざめ」に尽きます。  製作者のスタンリー・クレイマーによると、ジンネマンが撮ったラ ブ・シーンを編集者のエルモ・ウィリアムスがばっさり削ってシャー プな映画にしたという評価になるようですが...。  クーパーの歩き方。私は、あの「がに股」歩き、好きですよ。『北 西騎馬警官隊』で砦の中を飄々と歩く姿や、『西部の人』で、アーサ・ オコンネルと一緒に悲壮感ただよわせて歩く姿。彼の「がに股」歩き は、演出次第で幾通りものニュアンスが表現できる歩き方だったと思 うのです。 >またアルドリッチの「ヴェラクルス」は好きな映画ですが、クーパーがやはり似合 >わないんですよ。もちろんランカスターは、はまり役ですよ。もしかしたら、アル >ドリッチがランカスターを生かすための餌に使ったのかも知れませんが。  いや、ランカスター製作の映画ですから、ランカスターが自分をい かすためにキャスティングしたのでしょう。この映画のクーパーは、 出だしから格好悪いですよね。怪我した馬を歩いて引きながら登場す る。 >惠木さん、デルマー・デイヴィスとかどう思われます?  同時代に活躍したアンソニー・マンと比較されてか、今やとても評 価の低い人ですよね。確かに『折れた矢』とか『縛り首の木』とか、 テレビで見てはいるのですが、ハッとするような画面の記憶がありま せん。また、彼は『避暑地の出来事』(脚本・監督)や、マッケリー の『邂逅』『めぐり逢い』(脚本のみ)といったメロドラマでも記憶 される人ですね。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 歩き方(西部劇の復活) Date: 25 Jan 1999 18:52:00 GMT 惠木@芳賀書店シネアルバムは唯一彼のだけもっている、です。 In article <78fkg0$nne$1@saint.win.or.jp>, sid10286@first.win.or.jp says... > >ついでに、ウェインが「ダーティハリー」を蹴ったのはなぜでしょうかね。  オファーを蹴って後悔しているのですよね。それで、『マックQ』や 『ブラニガン』といった無惨な刑事物に立て続けに出演することになる。  しかし、遺作となった『ラスト・シューティスト』が念願のドン・シ ーゲル作品で、しかもこれ以上ない彼の集大成映画になっていて、ファ ンとしては、とても嬉しかったのです。 #ハリー・キャラハンはイーストウッドで正解だったと思う。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 映画館 Date: 25 Jan 1999 19:09:04 GMT 惠木@元会員です。こんにちわ。 In article , KS5A-KWMR@j.asahi-net.or.jp says... > >こんにちは、川村です。 > >In article <78a8cv$347$1@news1.twin.ne.jp>, >"Junko" wrote: >> わたしは大毎の会員だった過去を持っておりますが、確かスタンプ集めると >> 招待券に替えてくれたりしてなかったでしょうか…。  そうそう、そういう仕組みになっていました。懐かしいです。 >私は会員ではなかったのですが、劇場が発行しているフリーペーパーみたいな >もの(劇場のスケジュール以外にもちょっとした文章が載っているような) >を時々もらってきていたような気がします。  そうそう。この冊子に毎回載ってたクイズが難しかったですね!当時 半分もできなかったと思う。 >> ちなみに毎日文化ホールは、1階はパイプ椅子なんですが、(知ってる人は >> 知っている)「2階」に行くと古いなりにもちゃんとした椅子だった! >> ので、わたしはいつも脇目もふらず2階に向かっておりました。 > >そうそうそう!(^o^) 2階席からだとスクリーンをちょっと見下ろす感じ >になるのですが、段差もあって人の頭でスクリーンが隠れないので、私も >2階席に直行でした。  私も2階席組。:-)  今でも忘れられないのは、1階でベルイマンの『叫びとささやき』を 見ていた時のこと。貧血かなんかでパイプ椅子ごと女性が倒れはって、 大騒ぎになったことがある。パイプ椅子でベルイマン2本立ては、ちと 辛い!(なんのこっちゃ) -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 歩き方(西部劇の復活) Date: 28 Jan 1999 14:51:24 GMT 惠木です。 In article <78l0nq$alk$1@saint.win.or.jp>, sid10286@first.win.or.jp says... > >ところで、僕が前々から気になった映画があるんです。ペックが出たヘンリー・キ >ングの「拳銃王」です。  この映画のグレゴリー・ペック、最高の演技を示したのではない でしょうか。実はこの役者は『大いなる西部』を筆頭に、大概嫌い なのですが、『拳銃王』だけはいつもの傲岸不遜な感じがなく、し っとりとしたいいキャラクターを出していた、という記憶なのです。  ともあれ、20年程前にテレビで(城達也の吹き替えで)見た限 りなので、よく覚えていません。印象だけでいうと、西部劇という よりフィルム・ノワールのようだった、といったところでしょうか。  もう一度、見てみたいですね。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: シェーン(Re: ジョン・ウエィン(西部劇の復活)) Date: 28 Jan 1999 15:43:32 GMT 惠木です。私も『シェーン』は大したことないと思いますが...。 In article <78h9m2$39r$1@hisgw.hitachi-his.co.jp>, hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp says... > >鈴木@荻窪です。 >Masato Shinohara wrote in message <78fj47$ps5$1@saint.win.or.jp>... >>それから、鈴木さんはスティーヴンスの「シェーン」はどう思われます? 西部劇 >>として。僕はこの映画が大嫌いなんです。 (略) >シェーンってイヤミのギャグじゃなっくって、あのジャック・パランスが黒皮の手袋 >してて格好良かったのに、なぜか小柄のカーキ色のびろびろがついたダサイ服を着た >アラン・ラッドに撃ち殺されてしまうという映画ですよね? >平穏な生活を送る主婦のよろめきものにも分類できると思います。 >あれは水野はるおの水曜ロードショーで度々見た記憶はあるんですが、どこが >名作やねん?という印象しか残りませんでした。 >当時のTV宣伝文句では「0.7秒!驚異の早撃ちガンマン」というものでした。 >それが実際はトロイの何のって。スティーブ・マックインを見慣れた子供の目からも >かっちょ悪く見えましたですよ。 >名作『ペイルライダー』がストーリー的にはシェーンを踏襲してはいますが。  実は私は『シェーン』という映画は『真昼の決闘』などよりずっ と価値ある西部劇だったと思うのです。というのも『シェーン』が 後生に与えた影響は確かにイーストウッドへ連なっていると思うか らです。特に銃声音の使い方。  『シェーン』の銃声音に関しては、サム・ペキンパーも「ジャッ ク・パランスが酒場の前でエリシャ・クック・ジュニアの農夫を 射殺する時のショッキングな銃声が西部劇の歴史を変えた。ここか ら急速に西部劇が暴力へ傾斜し始めた」と言っているそうです。  このシーンだけでなく、それ以前に、シェーンが少年の見ている 前で遠くへ置いた空き缶を銃の練習よろしく撃つシーンの拳銃音の 凄まじさ。    『許されざる者』の前半、イーストウッドが子供達の前で、久し ぶりに拳銃を取り出し、『シェーン』と同じく試し撃ちをするシー ンがありますが、このシーンの一発目の銃声音の度肝を抜く響き! (またそのカットがいきなり遠くへ引いたカットに切り替わる見事さ)  ただし、『シェーン』と違って、短銃では全く命中せず、家から 散弾銃(?)を持ち出してくるという皮肉なシーンでもありました。  また、『シェーン』の「ガンマンとゆきずりの母子」という設定 は、ご指摘の『ペイル・ライダー』だけでなく、60年代後半の、 積雪地帯を舞台にした美しい西部劇『ウィル・ペニー』でも踏襲さ れています。  『許されざる者』のマニー(イーストウッド)の子供二人の名前 が「ウィル」と「ペニー」であったことを考えても、イーストウッ ドは明らかに『シェーン』を引きずっている、と言えるのではない でしょうか。 (あるいは『ウィル・ペニー』が大好きなだけなのか。) -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: アーネスト・ボーグナインについて Date: 28 Jan 1999 22:28:30 GMT 惠木です。男ですけど。 In article <78o0aa$gog$1@news.telewaynet.ad.jp>, EnterpriseX@GalaxyCorp.com says... >>アーネスト・ボーグナインが >>大好きな女はいないだろうという結論がでました。 > >男にとっては、心が広くて頼りになる理想の叔父さん >という感じではないでしょうか。 >スタートレックのスコッティにもキャラが似てますね。  そうかなぁ。私にとっては鬼のような悪役のイメージ なんだけど。『ヴェラクルス』で女を輪姦しようとする ならず者。『ウィラード』で鼠に食い殺される主人公の 上司。『北国の帝王』では大ハンマーぶんぶん振り回す 車掌。その顔の怖いこと!大好き。:-) #性別に関係なく悪役好きっているんとちゃう。 -- 惠木
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