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Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: キッスで殺せ(Re: 十一月大映画) Date: 2 Dec 1998 09:15:18 GMT 惠木です。こんにちわ。 In article <742le3$o3u$1@hisgw.hitachi-his.co.jp>, hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp says... >ハード・ボイルドとフィルム・ノワールってどう違うんでしょう? >Imdbでは「3つ数えろ」も「ビッグ・リボウスキ」も >フィルム・ノワールに分類されてて私にはワケワカメです。  ハード・ボイルドはスタイル、フィルム・ノワールはジャンル、 だと思っていた。「ハードボイルド探偵もの」とか言うとジャンル になる。だからハードボイルドじゃないフィルム・ノワールって いっぱいあると思う。  例えばフランク・タトルの『拳銃貸します』とかってフィルム・ ノワールに分類されるのでしょう。確かにアラン・ラッドがいきな り女の人をぶっ叩いたりするのでハードボイルドっぽい部分もある けれど、ベロニカ・レイクの手品のシーンとか、ラストの盛り上げ 方とかは、ハード・ボイルドというよりも、一般的な娯楽映画の、 エーターティメントのノリという感じ。(なんかとても明るい) ==========  『キッスで殺せ』って凄いテンションの映画ですね。私は10年ほど 前にプラネット(大阪)で見たのですが、字幕なし版で台詞に全然つい ていけなくても画面の力で圧倒されました。  アルドリッチでは『攻撃』というジャック・パランス主演のとても 痛い戦争映画が好きです。『キッスで殺せ』のようなハイテンション ハイテンポの展開ではなく、じっくりじっくり痛くなる映画です。 -- 惠木
Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: キッスで殺せ(ネタバレあり) Date: 3 Dec 1998 06:39:47 GMT 惠木です。こんにちわ。 In article <7452is$euh@rosak4.roland.co.jp>, yamamoto@roland.co.jp says... > >In article <742be1$54r$1@hisgw.hitachi-his.co.jp> >hsuzuki@tama.hitachi-his.co.jp writes: >> ラストのあっけなさは日活時代の鈴木清順みたいでした。 > >この結末が、今回のディレクターズ・カット版でオリジナル版から変わったの >だそうです。ネタばれなんで、Ctrl-L入れます。 > >Ctrl-Lの効かないニューズリーダーをお使いの方は目を瞑ってください。 > > >い >い >で >す >か >? > >オリジナル版ではラスト、2人とも死んでしまうんだそうです。  私が昔プラネット上映室で見た版は、死んでしまう、というか そんなシーンが映されるまでもなく、浜辺の家が吹っ飛んじゃっ てラスト!でした。なんて鮮烈なラスト・カットなんだ!と驚愕 した記憶があります。映画的に強烈なラスト・カットであるばか りでなく、「アルドリッチがマイク・ハマーを殺してしもたで!」 という感慨もあって、とてもとても驚きました。  ディレクターズ・カット版のラストは数ヶ月前に WOWOWで放映 されていたものを見ました。この版でラストが変わっている等と いう予備知識もなかったので、やっぱり、とても驚いたのです。  私はオリジナル版の、浜辺の家が吹っ飛ぶカットにエンドマー ク、というエンディングの方がずっと格好いいと思います。 #おうちにはWOWOWが入らない。たまたま近所のダイエーへ  お買い物へ行った際、家電売場のテレビにラルフ・ミーカー  が写ってた。ついつい後半からラストまで立って見てしもた。  妻子に睨まれながら...。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 雨の印象的な映画 Date: 14 Dec 1998 23:18:08 GMT 惠木と申します。 In article <74tv23$jo0$1@news4.odn.ne.jp>, caf49580@pop12.odn.ne.jp says... > >「七人の侍」の最後の決戦場面での豪雨。 >「シェルブールの雨傘」。 再開した時は、たがいに >   別の人生。つれない雨、いやもしかしたら雪か。 >「雨に歌えば」 人を楽しく、幸せにする雨。  雨や雪といえば、映画に欠かせない魅力的な道具立てですね。 印象的なシーンは数え切れないくらいあると思いますが、今思い つくものとして... 『民衆の敵』マックィーン版じゃなく、キャグニー版の方。この   映画のラストの雨は、親友を殺されたキャグニーの憤りを   現したかのような激しい土砂降り。 『南部の人』一年間育てた綿畑を一夜にして洗い流し壊滅させた   豪雨。でも、ザカリー・スコットとベティ・フィールドには   可愛い子どもたちがいるし、なによりも愛がある。 『驟雨』成瀬のこの映画の中で雨が降るのは冒頭近くに一回きり   だと思いますが、このシーンの、照明の変化と視線の演出の   繊細さ。こんな演出、他では見たこと無い。   -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 雨の印象的な映画 Date: 16 Dec 1998 13:58:48 GMT 惠木です。 In article <7572ck$b64@news.net135.or.jp>, j-kozuki@pop.net135.or.jp says... > >「台風クラブ」や「ハリケーン」はいかがでしょう?  相米では『魚影の群れ』の十朱幸代と緒形拳との再会の場面の ワンカット・ワンシーンが思い出されます。段々と雨足が強くな る。また、このシーンの旅館の窓の見事さといったら!  あるいは『雪の断章』では日照り雨(狐の嫁入り)をやってい ましたね。しかし、それ以上に、この映画では粉雪、ボタン雪、 吹雪と、雪を描き分けていたのが印象に残っています。 -- 惠木
Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 映画における電話の使われ方 Date: 28 Dec 1998 06:54:19 GMT 惠木です。ホークス『赤ちゃん教育』の中の電話の話がしたいのです。 In article <765ekp$en9$1@news4.odn.ne.jp>, caf49580@pop12.odn.ne.jp says... > >1)みなさんがこれはと思われる、電話が印象的な使われ方 >  をしている作品 >2)その中で電話がどのような使われ方をしているか >  相手が見えない、電話という道具立ても、非常に映画に相応しいもの ですね。  相手が見えないことから来る、恐怖や不安感を見事に提示した例とし ては、誘拐ものが真っ先に浮かびます。  ヒッチコックなら『知りすぎていた男』、黒澤『天国と地獄』、ドン・ シーゲルの『ドラブル』などなど。  こういった例は、誘拐ものに限らずいくらでも上げられるでしょう。 例えば『となりのトトロ』の中で、「さつき」がお父さんの研究室へ電 話をするシーンの、なかなか繋がらない不安感。  これらは、主に写っている人物のリアクションによって、映画の感情 を画面に定着させています。  そこで、ホークスの『赤ちゃん教育』です。この映画では、先に上げ た例とは全く逆に、画面に写っている側の言動で、電話の相手(見えな い側)を恐怖と不安におとしいれ、それを抱腹絶倒のコメディ・シーン として提示します。  キャサリン・ヘップバーンが獰猛な豹に襲われている様子を、いかに して電話の相手のケーリー・グラントへ伝えるか! #ここからは蛇足です。  上にあげたような電話の映画的な機能を意識せず、ただの小道具とし て使った例として、キャプラ『素晴らしき哉、人生!』のジェームズ・ スチュワートとドナ・リードのキス・シーンがあると思う。二人がキス している間も電話の相手が喋っている、という面白さはあるけれど、主 に二人を距離的に接近させる目的として電話が機能している。素晴らし く緊張感あふれるアップカットだとは思いますが...。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: 映画における決闘シーン Date: 28 Dec 1998 14:58:29 GMT 惠木@西部劇ファンです。西部劇のSubjectが多くて嬉しい... In article <75rrk7$2ob$1@news4.odn.ne.jp>, caf49580@pop12.odn.ne.jp says... > >西部劇というとワイアート アップ。ワイアートというと、 >OK牧場の決闘。 >私は、この保安官を題材とした映画はこれまで3作品観たと >思います。 > >「「OK牧場の決闘」 >「ワイアート アップ」 >(もう一つの作品がどうしても思い出せない。たしか、あったはずだと >思います。)  もう一つの作品はやはりフォードの『荒野の決闘』ですか。 #フォード『荒野の決闘』は『フロンティア・マーシャル』のリメイ  クだそうです。『フロンティア・マーシャル』でアープ兄を演じた  のは、ランドルフ・スコット。  しかし、西部劇ファンとしては、スタージェスの『OK牧場の決闘』 が最高ですよね。ワイアット・アープとドク・ホリディが並んで荒野 を馬で走るカットだけで映画の画にしています。 #映画ファンとしては『荒野の決闘』がオールタイム・ベスト・ワン  だという声があるのは納得しますが...。  だって『荒野の決闘』は西部劇というより、フォードのFOX時代 の文芸映画、『我谷は緑なりき』や『怒りの葡萄』『タバコ・ロード』 の系譜ですからね。  西部劇ファンたるもの、『荒野の決闘』のような香水の芬々たる映 画は唾棄すべきです。西部劇ファンはラオール・ウォルシュの『遠い 太鼓』におけるクーパーが髭をあたったシーンこそを愛すべきなのだ!  ま、どうでもいいけど、今まで見た最高に荒唐無稽な決闘シーンは ジェゼフ・H・ルイスが描いた『テキサスタウンの決闘』の中の、二 丁拳銃の悪役に対して捕鯨用の銛で戦ったハンブルグ帽を被ったヒー ロー、スターリーング・ヘイドンですね。 #ちなみに脇役でワイアット・アープが出てきた映画で忘れられない  のは、アンソニー・マン『ウィンチェスター銃'73』の、チル・  ウィルスと、フォード『シャイアン』の中でのジェームズ・スチュ  ワート。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: [Q]西部劇の歴史について Date: 28 Dec 1998 15:50:13 GMT 惠木@西部劇ファンです。 In article <7632ed$d74$1@news1.kcom.ne.jp>, marboo@geocities.co.jp says... > > 多くの批評家から西部劇の最高傑作と認められている >「捜索者」を見て思ったんですが、西部劇って単純に >インディアンの無頼漢を、正義の保安官やカウボーイが >返り討ちにするって話ではないんですね。マサトさんも >下でいっていますけど。 > エンカルタによると、ジョン・フォードの画期的な西部劇 >「駅馬車」の登場で、陰りが見えていた西部劇はよみがえった、 >とあります。そこで > >[Q]昔の西部劇はどんな物だったのか?「駅馬車」の登場で >西部劇はどのように変わったのか?いまの西部劇はどのように >なっているのか?  エンカルタって何?というにはさて置き、『駅馬車』以前と 以降の話をしましょう。  さて、フォードは1926年に撮った『三悪人』以降、1939年の 『駅馬車』まで13年間、西部劇は作らなかった訳です。トーキ ー初期のこの約10年間は西部劇がハリウッドの主要映画路線か ら外れた時期だとされています。この時期で記憶されるタイト ルしてはキング・ヴィドア『テキサス決死隊』、デミル『平原 児』、アカデミー作品賞受賞の『シマロン』ぐらいでしょう。  これらの内、『シマロン』は、ロン・ハワードの『遙かなる 大地へ』でリメイクされている訳ですが、他の西部劇は今や全 く回顧されない存在です。  では『駅馬車』と、それ以前の西部劇の何が違うのか?いや 1939年は『駅馬車』以外にも『大平原』という『スター・ウォ ーズ』の『隠し砦の三悪人』と並ぶ引用元映画である西部劇が 公開されている年なのですが、これらは、当時、トーキー初期 では難しかった野外での音響処理の技術が解決され、映像表現 の自由度が増した画期的にリアルな活劇だったのだと思います。  『駅馬車』のインディアン(ネイティブ・アメリカン)殺戮 シーン、『大平原』の中でのインディアンの少年をあたかも犬 ころを射殺するかのように撃ち殺すシーンは今見て正視に耐え ない、というヒューマニストもいるだろうと思いますが、映画 ファンにとっては、これらの活劇としての画面の強度について は忘れががたく、銘記すべきでしょう。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: マリリンモンロー Date: 29 Dec 1998 03:27:40 GMT 惠木と申します。 In article <20749-36871F08-17@storefull-1.tokyo.webtv.ne.jp>, patorashyu@webtv.ne.jp says... > >だいぶ古い映画で >「バス停留所」というのにでてた >モンローの相手役の俳優を知っているかた御一報をおねがいします。  既にフォローがついていますが、『バス停留所』のモンローへ一途 にアタックする牧童役がドン・マレイ、その先輩牧童が、アーサー・ オコンネル。アーサー・オコンネルがいつもながらいい味出していま した。しかし、ドン・マレイという役者、この映画以外で見た記憶が 殆どありません。 -- 惠木
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