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From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: mononoke Date: 7 Apr 1999 15:33:34 GMT 惠木と申します。 In article <7ec5ja$lhi@nntp.urban.ne.jp>, gendou@ymg.urban.ne.jp says... > > >> ところが、『もののけ』では、時代設定によって、空中飛行シーンを出さない >> という制約をつくってしまった。 >> にもかかわらず、この作品は活劇的興奮を十分に満たしてくれる出来です。 >> それは例えば、多様な樹木と巨石で特徴づけられる日本的な山岳地形を >> 犬などの動物が、俊敏に走り抜ける姿において、『トトロ』における猫バスとか、 >> 『魔女』における自転車の躍動感につらなる、高度な疾駆表現の達成が観て取れた >> からです。劇場で観ないとわからないかもしれませんが。 >> >そうですね。映像的なできは文句なく最高!と手放しで誉めるくらいすばらしいの >ですが、肝心なストーリー面ではどうでしょうか?「もののけ」では従来の宮崎監督 >の作品に見られるようなロマンや感動といった感情的な描写が全く希薄になってい >るとは思いませんか?そもそもそれぞれのキャラクターに感情移入できるほどそれ >ぞれが立っていないいないような気がします。全体のストーリーも「面白さ」より >「忠実 >さ」を優先しているようで笑いとかコミカルな描写は一切なしです。 >たしかに「もののけ」はリアルな映像や演出といった面ではすばらしいですが、お話 >自体はすごく退屈な映画だと僕は感じました。総合芸術である映画においてやはり >一部の部分が貧弱だとさびしくありませんか?  私は、映画においてストーリなんてどうでもいいと思っている 人間です。もっと言えば、キャラクタに感情移入できるかどうか もどうでも良い事柄です。とにかく、画面と音が際だっていれば それで良い。『もののけ』は悪くないですよ。  宮崎映画においては空中飛行もさることながら、「落ちる」と いうことこそ重要だと思って見てきました。  『カリオストロの城』での、焦げたルパンの飛行(落下)と、 五右衛門が「またつまらぬものを斬ってしまった」というシーン 以降の場面展開。  『ナウシカ』でのラスト近く、オウムの子供を救うためのナウ シカの振る舞いとメーベの落下。それ以降の場面転換。  『ラピュタ』は全編、落下が主題の映画だし、『魔女』でも、 いたるところで落ちる場面がある。  そういう観点から言うと、『もののけ』の「たたら場」の屋根 からのサンの落下やラストのシシ神の湖への落下は、まさしく、 宮崎的主題を踏襲していると思えます。特に、サンが「たたら場」 の屋根へ登場してからの一連のシーンの疾走感は、活劇としての 強度に満ちていると思えます。 #『トトロ』は落ちるシーンが希薄だから面白くない。 -- 惠木
From: egi@sannet.ne.jp (Katsumi Egi) Newsgroups: fj.rec.movies Subject: Re: ああバグダッド・カフェ! Date: 7 Apr 1999 15:57:19 GMT 惠木と申します。 In article , ebako@d1.dion.ne.jp says... >そーなんですかー。なんだかすごい寂寥感があるっていうか郷愁の念に駆られるって >いうか、切なくなる映像ですよね。あの色と曲を聴くだけでもほろりとします。なん >だか他にも画面の周りだけ暗くなっていたり、ちょっと現実にはない色あいの映像を >見せたりしていますよね。あれはたぶんカメラ自体の細工でしょうね。パーシー・ア >ドロンの作品は「ロザリー・ゴーズ・ショッピング」も見ましたけど、あっちはもっ >と現実離れした感じのストーリーと映像でした。あっちの映画にもマリアンネ・ゼーゲ >ブレヒトが主演していて、かわいい巨体でゆさゆさ動いているのがとっても印象的 >で、アドロンの不思議な空間にはまってました。最近は作品作ってるのかしら?誰か >知りません?  私はアドロンではドイツ時代の『シュガー・ベイビー』が、 ひたらすら可愛くて好きですね。この映画のゼーゲブレヒト の可愛らしさといったら! 『バグダット・カフェ』は、これみよがしの映像で、可愛く ない。言うなれば、『第三の男』や『エデンの東』級の嫌ら しい画面だと思う。  みんな、マジック・アワーと「コーリング・ユー」に騙さ れてるんとちゃう? #ま、こういう意見もあるということで。 -- 惠木
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