良い映画だと思う。良いシーンが沢山ある。何よりも圧倒的な画面の映画だ。
大杉漣のシークエンスをパラレルで挿入するという構成自体が物語を経済的に
語るというスタンスを完全に回避している。どう考えても、意味不明なフラッシ
ュ・フォワードも同様。シーンのつなぎ目を絵の具等の静物で繋ぐという部分も
古くさいカッティングでダサイ。
きっとこのようなプロット構成・編集上の問題でこの映画を素直に楽しめない
方も沢山おられると思う。多くの画面が物語を進める上で何ら機能しない、とい
うことは、一見決定的な欠陥。
しかしながら、大杉漣が花屋の前で佇んだカットに挿入される絵画のイメージ
の連鎖なんかは、圧倒的な映画的スペクタキュラーを感じる。映画においてかつ
てこのような絵画の使われ方がなされた例を思いつくことができない。
この北野武の挿入画を肯定的に捉えるられるかどうかが1つのポイントだろう。
自嘲的に記すなら、衒学的に映画を楽しんでいる私などには、夜の雪上の車の
シーンや、ラストのビートたけしと岸本加世子の抱擁から始まるクレーン移動な
んかは、溝口健二を想起させるシーケンスショットで、「おおやってくれるやん」
と、嬉しくなる。
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