冒頭のファミレスの女性が付けている胸元のブローチと、中盤で2人の刑事−
夙川アトムと望月歩が襲われた際の地面に落ちた眼鏡のレンズが良かった。この
ような鏡やガラス、水面のような反射物によるリフレクション・ショット挿入が、
この映画のポイントだ。これをどう入れるか楽しみながら見た。やっぱり、上記
の眼鏡レンズのショットは、城定秀夫がヒッチコックごっこをやっていて楽しそ
う!と感じられる、本作の最も幸福な瞬間だろう。
他方、その裏返しとしてのエアー大殺戮の演出に関しては、かなり計算違いが
発生しているのではないだろうか。いくら血糊で工夫しても、やっぱりエアーで
は迫力がイマイチ出ないと私には感じられた。もっともっと真に迫って見えるよ
うな、演技・演出の訓練が必要だったかも知れない、とも思った。
他にも、計算違いじゃないのか?と思われた演出がある。例えば、特に警察署
内のシーンで感じたが、ハンディカメラ撮影の多用と怒鳴り合いのディレクショ
ンがうるさくて不快だった。その一つの要因でもある国枝刑事−佐々木蔵之介の
キャラ造型は分裂気味だろう。ついでに云うと、警官−丸山隆平の息子役で嶋田
鉄太くんが出ていて、これが、まるっきり『ふつうの子ども』の時と同じような
キャラクターというのも私にはノイジーだった。
あと、佐藤二朗の顔作りが醜悪であるということは言をまたないと思うが、科
白をほとんど無くして顔演技で勝負することは悪くないアプローチなのでしょう
けれど、目鼻をピクピク痙攣させるとか、いかにも予想通りの鬼気迫る嘲笑の表
出とかは要らんかったんじゃないだろうか。もしくはサービス精神を出し過ぎた
というか。無表情の方が怖かったと思う。
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