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『Deceived Slumming Party』
(D・W・グリフィス,1908)

 グリフィスの6作目と思しき映画だが、デビュー作『ドリーの冒険』から1ヵ
月を経たずして公開された作品のようだ。タイトルを訳すると「騙されたスラム
街見物の一行」ぐらいか。全部で5つのカットで構成されている。その全てが固
定ショットで、フルショットよりも少し引いたロングショットか、ほゞフルショ
ット。けっこう画面が揺れて見えるが、これはフィルム状態の問題か。

 ファーストショットはNYの通り。画面左側には乗り合いバスのような乗り物。
その下手前に看板があり、「チャイナタウン」とか「バワリー」といった行先が
書かれている。画面右には手前に人々と画面奥(上部)には遠くの自動車なんか
が見えていて、けっこう混沌としたウルさい画面だ。画面左の乗り物が出発して
カットが換わる。
 2カット目は、中国人たち(男女)がカードゲームをしている部屋。画面奥中
央あたりにドアがあり、その左右に2段ベッドがある。ベッドの上段に座ってい
る人もいるので、やはり、密度の高い画面になっている。こゝにツアーの一行が
入って来る。すると、元から部屋にいた一人の女性がなぜか、ナイフで自分を刺
して倒れてしまう。仰天したツアー客たちは、中国人と何かやりとりをし(お金
を渡した?)、部屋を出ていく。その後、倒れていた女性も立ち上がり、皆と嬉
しそうに笑い合う。
 3カット目はレストラン。画面の左右にテーブルがあって、白人の男女が食事
をしている。そこにツアー客たちがやって来る。すると、ツアーの一人が、中国
人給仕の持つトレイをひっくり返してしまう。なのでこゝでもお金を巻き上げら
れる。
 4カット目はキッチンか。この場面では、画面奥にあるソーセージ製造機がよ
い装置だ。機械の上部に材料を入れる大きな器があり、その下の円形のハンドル
を回すことで、機械の左側からソーセージが出て来るという設定だ。素材を投入
する器に生きた猫や犬を入れるというのがブラックユーモアで、さらに、一行の
中の御婦人も器に入れられてしまう。
 最後の5カット目は貧民たちの酒場。床でサイコロをふる2人の男がいて、あ
と3人ぐらい客もいるが、なぜか喧嘩になる。ツアーの一行が来て、一旦喧嘩も
治まるが、今度は店の主人が怒り出し、常連客の一人を殴るのだが、客は拳銃を
出して発砲する。しかし、これも悪ふざけであり、ツアーの一行が驚いて逃げた
後、皆で大笑する。

 調べると、描かれているツアーは当時実際にビジネスとして実在していたそう
だ。そういった文化的な興味深さや、中国人(東洋人)蔑視が垣間見られる点、
逆に中国人に騙され続ける白人富裕層への揶揄などを指摘することができると思
うが、映画的な演出という意味では言及すべき点は少ない。