『ドリーの冒険』の1週間後ぐらいに公開されたグリフィスの初期作。どうも、
バイオグラフ社の重鎮監督−ウォレス・マカッチョン(シニア)が病気で倒れた
後、その息子−ジュニアに引き継がれた企画だったが、彼の仕事ぶりがかなり酷
かったため、グリフィスに交代した、という経緯の作品らしい。
ファーストショットからちょっと目を引く画面造型だ。建物(ビル)の裏口か
と思うような小さな階段のある風景を通りから撮ったロング・ショット。10人
以上の人々(男女)が、次々と中二階ぐらいの高さにある階段踊り場に現れ、階
段を左に下りる。地上までくると今度は画面右へ歩いて行く人が多く、つまり、
人々が流れるように画面の中をジグザグに運動するというショットだ。また、こ
の階段の右手の地上には一人の男が立っていて、誰かを待っているのかと思わせ
るが、最後に出てきた白いブラウスの女性を追いかける。
この後、追いかけた男はストーカーなのか、嫌がる女性にからみ、暴力もふる
うのだが、別の男性が来てやっつけられる。やっつけられた男は仲間2人に助勢
を頼み、女性を助けた男性に仕返しをする。この時、女性をそっちのけで男性だ
けを拉致する。こゝで画面内を犬が走り回る、という演出が目に留まる。女性は
警察(?)にかけこみ、拉致された男性の救出隊が出動する展開で、終盤は悪漢
たちと救出隊との闘いになる。
これを、全編ほゞ固定のロングショットで見せる。まだ同一空間内でカットを
繋ぐ、という演出はないけれど、例えば人物が画面右にハケた(フレームアウト
した)後、継続性のある空間に移動した場合は、ちゃんと画面左からフレームイ
ンする、といった映画文法は確立している。継続性のない空間への移動の場合は、
逆方向からのフレームインもありで、むしろ、これによってハッとさせる効果を
狙っているのかとも思う。また、悪漢が岩山を登り、下にいる救出隊に大きな石
を落とすというシーンでは、上下の2つの空間を映した固定ショットを交互に繋
いでいて、違和感もないし、怖さのよく出た演出になっている。こゝが、本作の
一番の見せ場だろう。
終盤は、拉致した男性を閉じ込めた小屋に火をつける展開となり、急に凄い煙
がもくもくと発生し、画面を隠蔽してしまうというのも、狙ったものなのか計算
外なのか分からないが面白い。この後、なぜか唐突に小屋の屋根上での格闘シー
ンになるのは、全然繋がっていないが、これはきっとフィルムの欠落部分がある
のだろうと思う。
#救出隊の中には、マック・セネットとグリフィス本人がいる。
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