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『ポルノの帝王 失神トルコ風呂』
(内藤誠,1972)

 梅宮辰夫の「帝王シリーズ」第5作はシリーズ最終作。最初に大きな女陰マー
クにタイトルが出る。本作もトップシーンは九州の炭鉱町。ただし、前作や前々
作と異なり、実物のボタ山のショットがあり、続いて山上から撮ったと思わせる
町の大俯瞰が繋がれ、ズームインして道を急ぐ梅宮辰夫が映される。と云った具
合で、のっけから今までとは違うスケールの大きさを感じさせる。この冒頭は、
梅宮の妹−木村弓美の結婚式の日の情景だ。巨大な男根の墓石や初井言栄や殿山
泰司も出てくるが、妹の友人として有吉ひとみが登場し、彼女は後半でも良い役
で出番がある。

 続いて場面は東京へ移る。東京駅・赤レンガ駅舎前で、マサ−山城新伍に再会
し、その後の主な舞台は浅草と吉原だ。ちなみに本作の山城新伍は、日比谷公園
で梅宮の土産の干物を食べたことで水銀中毒になり、終盤までずっと体調不良か
つ吃音の演技をする。また、山城が以前不義理をした姐さん(瓢箪池のオバン)
−久里千春のところにやっかいになるが、こゝで例によって梅宮の股間の「イボ
付き正宗」(他にも福チン、マラーの神などの別名あり)を見た山城が金儲けの
アイデアを思いつく。トルコ嬢相手の商売だ。

 というワケで、梅宮の濡れ場の相手を列挙しておくと、トルコ嬢で片山由美子、
集三枝子、小林千枝。あと、銀座のクラブのママ役で円山理英子がいる。情交シ
ーンやヌードはないけれど、トルコ店のママ−花園ひろみ(勿論、当時は山城新
伍と夫婦)が最も目立つ役。他にも山城が入院した病院の看護婦役で三原葉子が
おり、ラストシーンで松井康子が一瞬だけ登場する。もっとも、梅宮のアイデア
で、ブロンド(白人)だけを嬢とする店を開店させる場面では、白人女性6人の
トップレスが長く映る。

 さて、最も目に留まったシーンは、上京して医科大学に通うようになった同郷
の有吉ひとみが、金に困ってトルコ嬢になると云い、梅宮が止める場面だ。これ
が、夕景の中のボート乗り場のセットで演じられるのだが、画面奥の建物などを
見るに、かなりの高台にボート乗り場があるように思われる、キャッチーなスタ
ジオセットなのだ。あと、円山理英子のベッドシーンでもストップモーションが
活用されているが、終盤のアクション場面−梅宮と山城2人の殴り込みシーンに
おいても、ストップモーションを使って簡潔な描写で済ませている。この図太い
演出も内藤誠の良さと思う。

#備忘でその他の配役などを記述します。
・大福餅30個食べたら1万円進呈という饅頭屋の主人は由利徹。
・10人抜きで10万円の景品進呈というトルコ店で8人までいく大泉滉。
・ブロンドトルコ「スチームバス貴族院」の客で玉川良一と団巌。
 こゝで、川地民夫がカメオ出演。「まむしの片割れ」と山城が云う。
・円山理英子のパトロンで医科大学の理事長は渡辺文雄。
・渡辺の配下のヤクザたちに室田日出男、八名信夫、曽根晴美、小林稔侍。
・もぐりの医者で名古屋章。入院患者には南利明、たこ八郎。たこが面白い。