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『ポルノの帝王』
(内藤誠,1971)

 梅宮辰夫の「帝王シリーズ」第4作。2作目までは斎藤武市監督作で(私は未
見)、前作(第3作)から監督は内藤誠にバトンタッチする。調べると、主人公
の梅宮の役柄は1作目からほゞ同じ(苗字は異なるが下の名前はヒロシで同一人
物と云ってもいいキャラ)。特に前作からは、相棒のマサ−山城新伍含めて設定
などは完全に継続しているように思える。例えば、今作のトップシーンも、梅宮
の実家(九州の炭鉱町)の場面で、母親の初井言栄と医者の殿山泰司が出てくる
し、庭には父親の墓石−巨大な男根−がちゃんとある。ちなみに墓石には「松山
家代々の墓」と刻まれている(本作の梅宮の名前は松村浩?)。また、5億円を
作って故郷に立派な病院を建てるという夢(というか目標)も継続されている。

 さて、本作の舞台はほゞ横浜。タイトルは、終盤で梅宮と山城とその舎弟のよ
うな植田峻の3人が、アダルトグッズ(セックス・トイ)のビジネスを始めると
いった部分を指しているとも思われるが、梅宮が事業資金を蓄える経緯−沢山の
女性を喜ばせることで金を稼ぐ描写(一連の濡れ場)をタイトル化したと云う方
が適当だろう。梅宮の情交相手を先に列挙すると、トラウマがあってベッドで体
を硬くして男性を受け入れられない潤まり子(後に潤ますみ)。横浜税関の責任
者の妻−久里千春。悪質な化学会社の社長夫人−真山知子(実生活では蜷川幸雄
夫人、現在はキルト作家)、そして真山の夫の2号−フラワー・メグがいる。こ
の中では、潤ますみとフラワー・メグにはヌードのショットがあり、特に後者の
シーンは局部にボカシも入る。尚、真山は翌年の『子連れ狼 子を貸し腕貸しつ
かまつる』では綺麗な裸体を披露してくれるのに、本作では全く脱がない。梅宮
との絡みも、カーテン越しのシルエットのみだ。残念。

 他にも書き留めておきたい女優たちがいる(男優も沢山いるが、それは備忘と
して下にまとめます)。一人目は、濡れ場はないが、しっかり胸を見せてくれる
一の瀬レナで、彼女は横浜親不孝通り(曙町)のトルコ嬢。序盤の梅宮が勃起不
全を治すために山城に連れて行かれた店で出て来るのだが、後半でも再登場し、
梅宮はあの時のお礼と云って大金を渡す。このシーンで、夕景の中、海面スレス
レの堤防を歩く2人のショットがあり、これには驚いた(調べたが、横浜沖堤防
の「ハナレ」だろうか)。二人目は横浜の病院(九州の殿山の弟がやっている)
の大柄な看護婦−松井康子だ。ウブな(処女かもしれない)設定で、梅宮と殿山
の会話に「抜かず3発ってどういうことですか?」などと突っ込む。

 そして最後が、梅宮の実家の近所の娘で、横浜に出て来て化学会社に勤めるこ
とになったキヨミだ。これを何とまだ13歳ごろの藤山直美(この頃は藤山直子)
がやっている。大人びた設定なので、ミニスカで頑張っているし、いや演技はも
うしっかりしていて、山城を叩く場面なんかも上手い。梅宮が中華街に案内した
シーンで、彼女がお父ちゃんの話をし始めた際に、モノクロの呆けたような藤山
寛美の写真が一瞬挿入される演出には吹き出してしまった。

#備忘でその他の配役などを記述します。
・冒頭、横浜までヒッチハイクする場面で出て来るトラック運転手に南利明。
・横浜の病院に現れる髭だらけの船長は丹波哲郎。
・病院に立ち退きを迫るヤクザたちに深江章喜、佐藤京一、関山耕司ら。
・横浜税関の役人で、袖の下を受けとる左とん平。
・真山の夫で悪質な化学会社の社長は渡辺文雄。
・渡辺と取引する謎のポリネシア人に遠藤辰雄、たこ八郎、団巌。たこが目立つ。
・ラストシーンで梅宮は、田端義夫の「かえり船」を唄う。波の背の背に〜