舞台は修道院の洗礼堂。メリエスらしい独特の書割りが配置されている。画面
左奥には上部が半円アーチ型の回廊が奥に続いていて、画面中央には目立つかた
ちで洗礼盤がある。開巻時点では、司祭がいて、彼がぐるっと洗礼盤を回って、
下手(左奥)の舞台袖の方へハケていくと、洗礼盤の中から悪魔が出現する。悪
魔は洗礼盤の上からフロアに飛び降りるが、まるでピアノ線で吊られたかのよう
に、ゆっくりと着地する。悪魔は次に、画面中央にある紐を引っ張る。多分これ
は鐘を鳴らしたということなのだろう、7人ぐらいの修道女が画面右からやって
来る。これとほゞ同時に、悪魔は司祭に変身する。彼は、右端の一段高い壇上に
行き、ミサを執り行う。しかし、途中で司祭から悪魔の姿に戻り、修道女たちは
驚いて逃げてしまう。続いて、怪しい彫像や鬼のような顔の面、床板から悪魔の
使いを次々と出現させる。あげくは、『天文学者の夢』の満月に描かれていたよ
うな巨大な顔や、これまた巨大な蛙が中央に現れ、悪魔は蛙にまたがる。この後、
この悪魔を退治することはできるのか、というプロットだ。
これらを例によってストップトリックを使い倒しながら目まぐるしく人やモノ
を出し入れするワケだが、上にも少し書いたけれど、唐突に出現させるだけでな
く、ピアノ線で吊られているようなゆったりとした動きをしたり、床下(奈落)
から登場する際は、油圧ジャッキでゆっくり押し上げられたようにスムーズに出
てきたり、といった演出も取り入れられていて、このようなスピード感が異なる
運動でアクセントをつける演出は面白いと思った。尚、本作も帰結はさておき、
終盤までの悪魔による傍若無人な振る舞いは、度が過ぎている感覚もあり(もち
ろんこの過剰さが映画としての面白さなのだが)、メリエスはカトリックをコケ
にする目的でこれを描いていることも間違いないだろうと感じられる。
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