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『愛の喜びは』
(ネリー・カプラン,1991)

 ネリー・カプランの監督作としては遺作。これも実に綺麗な映画かつフザケた
映画だ。冒頭は地獄の劫火イメージの造型。主人公のド・ビューラドール(呼び
名はウィリー。けっこうオジサン)−ピエール・アルディティが、唐突にカメラ
目線の俯瞰ショットで「千人斬り」を自慢する。なんじゃこりゃ。

 続いて飛行する水上機(飛行艇)。ウィリーは、南洋の孤島(国名や地域など
は不明。仏領ポリネシアか?)の豪邸(邸の門には「ブルー・オーキッド」とい
う看板がある)で、13歳の少女(名前はフロ)の家庭教師になる。ただし、こ
の少女は海外暮らしのようで、一向に姿を現さない。邸には、フロの祖母−フラ
ンソワーズ・ファビアン、母親−ドミニク・ブラン、姉−セシル・サンス・デ・
アルバがいて、三者三様にウィリーと絡む。また、13歳の少女フロは果たして
いつ帰郷するのかということがプロットの関心事にもなり、さらに、この13歳
がとんでもなく早熟な女の子だということが分かってきて、ウィリーはフロの幻
影に執着するようになる。

 さて、先に記述した通り、ウィリー役のアルディティが主人公と云って間違い
なく、いや、彼が出ずっぱりの映画と云うべきだが、しかし私には、真の主人公
は上の段落の3人(3世代)の女性と思える。とにかく、本作の一番の見どころ
は(勿論、観客によって異なるとは思うが)、セクシーな3女優への演出だろう。
最もビッグネームと思しきフロの祖母役フランソワーズ・ファビアン(撮影時は
58歳ぐらい)には、さすがにヌードシーンはないけれど、母親役−ドミニク・
ブランやその娘−セシル・サンス・デ・アルバには、ちゃんとトップレスのショ
ットが与えられている。中でも、ドミニク・ブランの妖艶さは際立っており、庭
にあるスチーム室みたいな場所で全裸になって水をかけられるシーンが最も露出
度は高いのだが、部屋着姿でも上半身がほとんどスケスケのレースの下着みたい
な格好で出て来る場面が最もスペクタキュラーかも知れません。

 と書いてしまうと、依然として女性を性的消費の対象として捉え、観客増員を
狙った商業主義的な作りに思われるかもしれないが(確かに狡猾に男性客を狙っ
ている側面はあるだろう)、しかし、それは私の書き方(もしくは私の嗜好)の
問題であって、実のところは、3人の女性が主人公のウィリーを散々喰いものに
して破滅させるという女性優位を高らかに謳うのが、明らかにカプランの目当て
だということもようく認識できる。

#備忘でその他の配役などを記述します。
・邸の使用人で変なオブジェを作るラファエルにハインツ・ベネント
・三姉妹の主治医コルネリウス医師はピエール・デュクス。
・邸を買い取りたがっている公証人(?)はジャン=ジャック・モロー。
・タイトルの「愛の喜びは」はシャンソンの定番曲。劇中ファビアンが唄う。