戻る

『パパ・プティ・バトー』
(ネリー・カプラン,1971)

 いやあ、ネリー・カプランってこんなオモロい映画を作ってたんですね。冒頭
からフザケ過ぎ!ヒロインのシーラ・ホワイトがエンディングまで何度も何度も
変顔を披露する。もう憎たらしいぐらいだが、それでもちょっと可愛いので許せ
てしまって悔しい思いをするのだ。また、この人、ダンスにもキレがある。フィ
ルモグラフィーを調べると、本作以前に『オリバー!』のナンシー−シャニ・ウ
ォリスの妹役で出ていたようだが、私はノーマークでした。

 また、脇役ファンにとっては、他にも良い俳優が多数出ている作品でもある。
まずは脇役と云ってはビッグネーム過ぎるが、シーラ・ホワイトとダブル主演と
云ってもいい(クレジットでも並んで名前が出る)ミシェル・ブーケ。彼はホワ
イト−クッキーを誘拐する素人ギャングの親分マルク。彼の仲間には、情婦マリ
レーヌがジュディット・マーレで『エルELLE』ではユペールの母親役だった
人。子分2人の内一人(マリレーヌの弟役)はミシェル・ロンズデールだ。後半
になって仲間に加わるギャング2人はピエール・モンディとバーナード・マッソ
ン。この2人もよく見る脇役だが、モンディはガンスの1960年『ナポレオン
/アウステルリッツの戦い』ではナポレオンを演じている(私は未見)。ちなみ
にこの作品にはネリー・カプランが脚本で参加しているようだ。そして、誘拐さ
れたヒロイン−クッキーの富豪の父親にシドニー・チャップリン。チョイ役だが、
身代金受け渡しの際に使われる浮浪者はダリオだ。

 プロット展開も目まぐるしいが、親分のブーケが外出する(身代金要求の電話
をかけに町に出たりする)度に仲間がどんどん減って行くという見せ方は面白い。
中でも、ロンズデールの早すぎる退場には驚いた(正直もう少し見たかった)。
終盤、ホワイト−クッキーがブーケ−マルクを屋根裏部屋へ連れて行き、彼を縛
って猿ぐつわをし「私と同じ目に合わせる」と云う場面は留飲の下がる部分だが、
もっと過激に偏執的な演出でも良かったのではないかと思う。とは云え、この後
の最終盤の展開、あるいはエンディングのシドニー・チャップリンの扱いも懐が
深い描き方で良いと思う。

《以下蛇足めいた話ですが、ネタバレかも知れませんので注意!》

 本作には、ホワイト−クッキーとブーケ−マルクが明らかに一夜を共にした、
もっと云えば肉体関係があったと思われる描き方(映画話法)がある。それは、
『ローマの休日』のジョーとアン王女には肉体関係があったと強く主張する人が
いるのと同じように、作り手の仄めかしとその深読みではあるが、本作の場合は
『ローマの休日』よりも数倍は明白だろう。

#備忘
・タイトルを訳すと「パパ、小さなお船が」。童謡の歌詞のモジりらしい。
・町でブーケに絡むセントバーナードを連れた御婦人は、ネリー・カプラン。