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『The Spirit of the Flag』
(アラン・ドワン,1913)

 フィリピンを舞台にした米西戦争時(1898年)の局地戦を描いた作品。後
半は戦闘シーンが続くので、戦争映画と云ってもよいと思う。ただし、主人公は
民間人で、米国人の医師−ウォレス・リードと、現地学校の白人女性教師−ポー
リン・ブッシュ、そして現地人の少女・ボニータ(ハイティーンに見える)−ジ
ェサリン・ヴァン・トランプの3人だ。

 さて、本作はタイトルが示す通り、旗の映画であり(もちろん星条旗)、銃の
映画でもある。開巻は、ライフルを構えて撃つリード医師のショット。逆構図で
標的の画面が繋がれた後、すぐに、教室の中で怯える現地人の子供たちの場面に
なる。ちなみに子供たちもボニータ(一人だけ大きいので生徒でなく助手?)も
皆メイクで黒塗りにした白人が演じている。前半は、リード医師を巡る女先生と
ボニータの淡い三角関係が描かれると共に、リードが米軍に要請してライフル銃
(ウィンチェスター銃)を一箱入手し、現地人の男性を集め、民兵を組織化する
過程が描かれている。それは、近隣に駐留するスペイン軍兵士たちの不穏な動き
に備えるためだ。
 また、教室の中にもリードの病院の壁にも星条旗が翻っていて、なぜか、ボニ
ータは大きな星条旗をショールのように肩にかけて登場するし、現地人の兵士と
しての訓練シーンでも、星条旗を持って行進する人物がいる。そして、エンディ
ングでは、横たわった一人の人物に星条旗が被せられる。

 というように、なかなか魅力的な舞台・設定を持つ作品だが、この頃のドワン
の映画としては、縦構図や奥行きを意識したショットが僅少だし、度肝を抜かれ
るような美しいショットもなく、その点では物足りないと思った。あと、ボニー
タが家の前でスペイン人に絡まれるショットがあり、次にリードが右側の画面外
を見ながら表情を変え、右にフレームアウトするショットが来て、この後、リー
ドがボニータの家の前に左からフレームインすると自然なのだが、右側からフレ
ームインするという繋ぎがある。つまり、現在の感覚では全く繋がっていない。
これには唖然とさせられた。