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『Custer’s Last Fight』
(フランシス・フォード,1912)

 カスター将軍と第七騎兵隊の最後(及びリトルビッグホーンの戦いに至る経緯)
を描いたフランシス・フォード監督主演作。この事件は、本作製作当時35年ほ
ど前の出来事であり、今現在の私たちにてらして云えば、昭和から平成に変わっ
た頃の事件を題材にしているのと同じような身近さで製作され、かつ見られた作
品だ。

 ただし、私が見たバージョンは5リール約40分という尺だったが、米国版ウ
ィキペディアには、2リール約30分と記載されており、どうも、1925年に
再編集されリバイバル公開されたバージョンのようだ。なので、もしかしたら、
フォードが監督した初公開バージョンとかなり異なるモノを見たのかもしれない
という留保付きで、以下に感想を記載したい。

 まず、最初に書きたいのは、インタータイトル(挿入字幕)について。こんな
ことを最初に書く、ということ自体、映画的な行為と思えないが、仕方がない。
これは、私が今まで見てきたどんな映画(無声映画)よりもタイトルカード、あ
るいは、その文字数の多い作品だ。ほとんど1カット毎に挿入字幕があり、しか
も、1枚のタイトルカードの文字数もメッチャ多いので、体感的には動画部分の
2倍ぐらい挿入字幕を見せられたように感じてしまった。

 さらに、その字幕の内容は、史実を詳細に記載したもので、もうこのバージョ
ン全体が、リトルビッグホーン歴史博物館(実在するか知りませんが)で流すた
めの展示映像みたいになってしまっている。多分これ(字幕の多さとその内容)
は、フォードによる初公開バージョンではなく、リバイバル公開時に映画の何た
るかをはき違えた人間がこしらえたものだと私には思える。いやそれは、映画に
何を求めるか、によって違ってくる事柄ではあるが、映画の作り手は、第一義に
エンタメ(興奮や感動)を求めるスタンスであって欲しいと私は思っている(教
育や啓蒙ではなく)。

 さて、気を取り直して、フォードが撮影したと思しき動画部分について感想を
記すならば、これは全く堂々たる大作西部劇だ。冒頭で、スー族の挙兵と騎兵隊
との戦闘激化を短い時間で表した部分で既に、その甚だしく混乱した画面(土煙
や硝煙が凄い!)が実に功を奏しているし、終盤のリトルビッグホーンでのモブ
の物量には全く圧倒される。それらが、多く縦の構図、画面手前から奥まで兵士
と乗馬で埋められた構図で造型されていてとても見応えがあるのだ。あるいは、
カスター率いる騎兵隊がどんどんやられていく描写も同様だ。エンディングで、
闘うカスターのショットがフラッシュバックのように再度挿入され、星条旗がは
ためくというカタチになっているのも、多分、リバイバル版での改変部分だと推
測するが、しかしこの措置はなかなかいいと思った。少々感傷的ではあるが。