タイトルはいくつかあるようですが、ウィキペディア(英語版及び仏語版)で
採用されているものに合わせます。別名として「ハーレクインとピエレットの旅
立」や「ピエレットの冒険」というものもあるようです。ちなみにピエレットは
「ピエロ」の女性形、こゝでいう「ハーレクイン」はイタリアの即興喜劇に登場
する菱形模様の服を着てタイツをはいた道化役とのことです。
では梗概から。化粧部屋のような装置の前、画面左側の女性が白いコートと帽
子を脱ぐ瞬間から始まる。コートの下はピンク色のドレス。彼女は画面奥の化粧
台の左側に座って白粉をはたく。そこへ画面右側から全身真っ白で口髭を付けた
ピエロが現れフレームイン。女性は立ち上がり、ピエロも彼女に近付いて一緒に
踊りたそうなそぶりを見せる(ちなみにこの時点で、このピエロは女性が扮して
いる、つまりピエレットであるように見える)。しかし、ピンクのドレスの女性
はピエロを拒絶するので、ピエロはあきらめて、左側へフレームアウトしてしま
う。次に女性はカメラ目線でダンスっぽい動きをしながら、画面右奥の鏡(姿見)
の前へ行く。この鏡には身体の一部だけだが、きちんと女性の動きが映し出され
る。また、女性は右の画面外に誰かがいるかのように耳を傾ける身振りをし、ド
レスをたくし上げて踊る。すると、カットが割られ、唐突に黄色い二角帽子と黄
色いブーツ、緑のボディスーツ(菱形模様がある)を着た道化役が出現する。こ
の道化役も口髭を付けていて、先のピエロと同一人物のように見える。ピンクの
ドレスの女性と道化役は手を取って一緒に踊り、2人がキスをしようとする瞬間
に暗転する。
上で白、ピンク、黄色、緑などと色について記述しているのは、同年の『フロ
ールの舞踏会』同様、ステンシルによる着色版を見たからだが、どうも初公開時
点からこのかたちの上映だったらしい。映画的な演出という意味では、あまり見
るべき点のない作品と思うけれど、女性2人と思われる演者(1人は髭を付けて
いる)がキスする場面で終わるという点は、クィアな観点で語ることができるだ
ろう。
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