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『In Old Madrid』
(トーマス・H・インス,1911)

 スペインを舞台にして登場人物は全員がスペイン人という設定の作品。ロケ地
はキューバらしい。メアリー・ピックフォードとオーウェン・ムーアは、劇中で
初めて出会い、すぐに恋に落ちる若者たち。ムーアは闘牛士みたいなルックスを
している。ピックフォードの父母、特に母親が、2人を近づけないように監視す
るのだが、ピックフォードの女友だち2人の力を借りて(3人が全く同じ服装を
して母親を翻弄する)、恋人たちは密会する。終盤は川の急流を背景にした場面
が続くが、これは、リスキーな行動をとることで、ピックフォードの父母に対し
て、脅迫めいた説得をしている場面だと私は解釈した。

 というワケで、画面的な面白さについては、多分、ほとんどの観客が、終盤の
激しい川の流れを背景にする場面にのみ見出すのではないかと推量するのだが、
中盤のピックフォードが監視されている部分まででも、インスらしい画面手前と
画面奥の両方に人物を配置した構図が多用されていて、これも私には面白かった。
すなわち、画面手前(ほとんど左手前)にベンチなどが置かれていて、そこに座
った人物と、画面中央奥にも別の人物の動線がある、といった画面だ。尚、手紙
の文面を映したショットを除けば、本作も、ニーショットレベル以上に引いた画
面ばかりで構成されており、インタータイトル(挿入字幕)も僅少なので、上の
段落で「私は解釈した」と記述した通り、何を見せられているのか俄に断定し難
い、観客の想像力を要する場面がある、というか現在の映画文法に比べると不親
切な演出だが、それもこの時期の映画を見る面白さだと私は思っている。