初期のアラン・ドワンの一巻モノの西部劇。しかし、なんとも独特の重苦しい
ムードを放つ作品だ。まったく西部劇である必要もない、若い女性の恋愛に関す
る教訓譚。主要人物は主人公の女性とその父、カウボーイ3人と多分牧場主と思
われる女性の6人。あとは他の牧童たち。
開巻は壁の前のベンチに座る年かさの男。画面右のドアから若い娘が出て来る。
女もベンチに座り、男の手を握る。2人は父娘ということだと思う。娘は立って
右へフレームアウトする。次に中央手前から奥に伸びる大木。娘が右からフレー
ムイン。木の陰から本を取り出す。続いて草原。左から娘がフレームイン。続い
て丘。娘が左からフレームインして反転。まだ本を持っている。続いて、また木
のある場所に右からフレームイン。本を木の陰に隠す。といった具合で、フレー
ムイン/フレームアウトを律儀に繰り返す固定ショットの繋ぎに終始する。
この娘が荷物をまとめて父の元を去るのだが、これは本に影響されたから、と
いうことらしい。場面は牧場に移る。牧場シーケンスの導入部は、画面右手前の
馬場柵に2人の牧童がいるショット。左の奥から娘が手前に向かって歩いて来る
縦構図だ。娘は薪割りをする女牧場主に雇われる。大きな納屋を背景にして画面
左手前に先の牧童2人を置き、右奥に向かって他の牧童たちを配置した縦構図も
出て来る。娘は牧童2人にちやほやされるが、別のちょっと偉そうな牧童に抱き
寄せられてキスされる。3人の牧童が娘を自分のモノにしようと争い、娘は誰に
でも愛嬌を振りまく。というような展開だ。
結局、全編に亘って被写体の人物が空間を移動することでカットを割る繋ぎが
ほとんどで、一部、人物の視線に合わせて他の人物を繋いだりする部分もあるけ
れど、カッチリした切り返しだとか、あるいは、ポン寄りやポン引きといったカ
ッティングはない。そういう意味で、演出の妙味は乏しい。ただし、奥行きを志
向した人物の配置と、その動かし方には見るべき点があり、女牧場主が薪割りを
する場所が映ると、なぜかかなり強い風が吹いている、といった画面造型の一貫
性は面白いと思う。
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