初期アラン・ドワンの一巻モノの西部劇。これはかなり面白い作品だ。それは
良いロングショット、それもかなり引いた超ロングショットの連打にとても見応
えがあるという点が大きい。さらに、終盤クライマックス、岩山で対決する悪漢
と追っ手の男の場面では、2人を映したロングショットから、悪漢一人に寄った
り、逆に、2人を映したフルショットから、ポン引きのように離れた距離からの
ロングショットに引いたり、といった同一空間内を寄り引きで繋ぐカッティング
が使われており瞠目した。
開巻は、荒野で乗馬した悪漢(お尋ね者)のショット。赤い着色の画面なので、
夜ということか。手配書らしき紙を破って捨てる。次に追跡隊と思われる騎馬の
集団が奥から手前に来るショットがあり、すぐに追いかけ合いになる。こゝから、
荒野の道を逃げる悪漢と追う追跡隊のロングショットが繋がれる。山の稜線を単
騎が左から右へ動き、画面上部中央から山を駈け下り、手前に近づいてくるショ
ットがあり、やゝあって追跡隊も同様の運動で画面を駆け抜ける長回しなんて見
事なものだ。
画面の赤い着色が消えると(朝になったということだと思うが)、悪漢は荒野
の一軒家に立ち寄る。ちょうど、その家の娘が井戸から水を汲んで戻ってくると
ころで、娘からバケツを引ったくり、水を飲んだ後、悪漢は娘にキスをする。こ
れがタイトルを表している。この娘の夫だろうか恋人だろうか、若い男性が激怒
して、一人で悪漢を追う。前半は追跡隊との追いかけ合いだったが、後半は一対
一の追跡劇で、こゝでもかなり離れたロングショットが連打される。つづら折り
の道では右から左へゆっくりとパンするショットもあり、それぞれが発砲する度
に、硝煙が上がって視認できる画面がいい。装弾シーンは省略されているので、
いったい何連発なんだと思わせられるぐらい発砲し続けるが、終盤には弾丸切れ
もきちんと描かれ、ナイフ対素手での対決になる。それが、最初に書いたクライ
マックスの決闘シーンだ。上ではサラッと書いただけだが、ポン引きのようにロ
ングに引く編集は、かなり衝撃的な見せ方であり、これは画期的な演出かも知れ
ない(類似例をもっと確認する必要はあるが)。
|