舞台はテキサス。クレジットバックは、レスリー−アンドレア・ライズボロー
が持っているスナップ写真。どれも指紋が付いていたり、傷んでいたり。途中、
宝くじで19万ドル当たった時の、テレビで放送されたニュース番組の録画ビデ
オ映像も挿入される。クレジット開けは、レスリーがモーテルから追い出される
シーン。仕方なく、都会に住む息子ジェームズ−オーウェン・ティーグを頼る。
これは宝くじが当たってから6年後。後のセリフで、13歳のジェームズを置き
去りにした、とあるから、ジェームズは19歳ということだ。レスリーはジェー
ムズの家に数日間泊まるが、ジェームズだけでなく、同居人のダーレンの金も盗
んで酒を飲み、追い出される。そして、ジェームズが泣きついて頼んだ、レスリ
ーの地元のダッチ−スティーヴン・ルートとナンシー−アリソン・ジャネイの家
へ。しかし、こゝも数日で締めだされる。ナンシーのレスリーに対する憎悪とい
うか二人の確執が印象付けられるお膳立てだ。
さて、カメラワークについては、前半は(上記のあたりまでは)ずっと手持ち。
風景ショットも小さく揺れている。私は、このまゝ全カット手持ちかと、嫌気が
さしてきたのだが、ロイヤルのモーテルのシーンあたりから固定ショットが出て
来る。ロイヤル−アンドレ・ロヨとスウィーニー−マーク・マロンが窓からレス
リーを見るショットは完全に固定だ。後半も手持ちは多いが、徐々に固定もしく
は滑らかなドリーも出現してくるのだ。これは、明らかに、レスリーの環境(あ
るいは心境)の変化を表象した演出だ。
もっとも良いシーン・ショットは、酒場のカウンターにいてじっとしているレ
スリーをゆっくりカウンター内から横移動して見せるショットだろう。ジューク
ボックスからウィリー・ネルソンの曲が流れているシーン。この後、レスリーは
昔住んでいた家を訪ね、翌日から酒を断つ。あともう一つあげるなら、スウィー
ニーを罵倒し、ロイヤルのモーテルを飛び出したレスリーが、息子ジェームズに
電話した後、町を歩くシーンの横移動ショットだ。酒場に入るが、断っていた酒
を飲むのかどうか、という場面に繋がる。
というワケで、本作に関して、まず賞賛されるべきは、アンドレア・ライズボ
ローの表現力、顔面(および身体)の使い方についてだということで、私も異論
はないけれど、カメラワークについても、よく考えられた演出である、という点
は特記すべきだと思う。エンディングは、ある風景の固定ショット。これをポン
引きしてロングショットに繋いで暗転する。登場人物の心情と共に、我々観客の
心持ちも、フィルムに定着するかのように感じられる。佳編だと思う。
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