音楽、演奏はいい。興奮する。しかし、実は、もっとカッコいい映画かと思っ
ていた。ちょっと期待を上げ過ぎていたかも知れない。雪の中、河原で練習して
いる主人公−宮本大の場面から始まる。意味ありげな猫の描写。仙台から夜行バ
スで新宿バスタに着くまでの冒頭の演出で、既にドラマ部分は、あんまりカッコ
良くないなぁと思う。兄妹の描写も割愛した方が良かったんじゃないか。そして
最初に入ったジャズバーが「TAKE TWO」だった幸運。ママに紹介されたライブ会
場で、すぐに天才ピアニストの沢辺雪祈に出会う幸運。雪折(ゆきのり)は、登
場時点で左手のピアニストだ。こういった(他にもある)序盤のラッキー続きの
作劇も好悪の別れるところだろう。
前半は、主人公の友人で全くの初心者だった玉田がドラマーになる成長譚とい
うプロットがあり、後半は、凄いテクニシャンかも知れないが、小手先の技術の
殻を破る雪折のドラマがある。しかし、主人公の宮本大は、確かに狂気的な練習
量なのは分かるが、この映画の中では、彼の変貌や成長が描かれているとは思え
ない点もどうか。
さて、演奏シーンの映像表現で、CG部分は安っぽいとも思うが、いろんなバ
リエーションで見せてくれて、とても見応えがあるし、楽しいし、興奮する。た
だし、私が気になったのは、演奏中のイメージショットにも、多くのフラッシュ
バック(過去の回想)が含まれている点だ。これも本作の感傷的な志向性を表出
し、クールじゃないと思う。
また、途中でいくつかインタビュー撮影の体(てい)の画面(こゝは画面の上
下が切れてシネスコサイズになる)が挿入される。半年通ったというサックスの
先生とか、「TAKE TWO」のママだとか。この趣向、私の感覚だと、全部要らんと
思う。こういう構成もありきたりでカッコ良くないと思う部分だ。さらに、終盤
のジャズクラブ「So Blue」の場面で、観客の多くが泣いている、しかも涙を流
している絵面になっているのは、大げさだし、それこそ感傷的過ぎる。これもカ
ッコ良くない。
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