いやあ凄まじい格闘アクションのデザインだ。特に、一言も喋らない(爪楊枝
をくわえている)謎の殺し屋−TAK∴(坂口拓)が絡んだアクションシーンは
ことごとく素晴らしい。冒頭のレインコートを着た男も、顔がよく見えなかった
が彼なのだろう。魚をさばいている後ろ姿で登場するシーンが何と云っても瞠目
するが、ショッピングモールの上階の通路で小沢仁志たちと闘うシーンは、吃驚
するというよりは、とても面白かった。特に、三元雅芸と闘いながらも、ちょこ
ちょこと坂ノ上茜を殴ったり蹴ったりするのが面白い。そして勿論、山口祥行−
金数義と小沢との死闘の迫力も非常に満足感の高いものだ。小沢と山口のアクシ
ョンが、ときおり、フルショットで真横から捉えたカットとして挿入されるのが
いい。これらの闘いが、銃弾で終わりを告げるのは勿体ないと思った。なんとか
生身のアクションでケリをつけて欲しかったと感じたが、それぐらい魅了された
ということだ。
ただし、その他大勢のモブが暴れ回ってその対応をしなければならない場面は、
乱雑なアクションになるし、どうしてもムヤミな発砲も増えるので、嘘っぽくな
る。また、プロローグ(ヤクザの銭湯貸し切りシーン)はとてもいいが、その後
の人物設定や状況説明のための演出は、矢張り緊張感が弛緩してしまう。こうい
う部分でも、映画が走り続けるような工夫が欲しい。特に壇蜜の口調は説明セリ
フになると余計にまだるっこしく思える。あるいは、坂ノ上と大学の同級生で記
者の松永有紗が会食するシーンなど、アップショットが多くてゲンナリしたのだ
が、アップとバストショットの画角の選択が行き当たりばったりのように感じら
れるのだ(いや、坂ノ上はとても可愛く演出されているが、基本的に私はアップ
があまり好きじゃないのです)。
とは云え、憎たらしい黒幕のリリー・フランキーや大姐御といった貫禄の、か
たせ梨乃もよく演出されている。かたせが、自家製キムチやキンパを売っている
女性−圭叶と絡む場面にも、私はかなりグッときた。圭叶という女優はワンシー
ンのみの出番だが、鮮烈なイメージを残す。
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