本作もとんでもない意地悪不条理映画だ。しかし、私はこの理屈のない、いや
理屈を反故にするような見せ方はけっこう好き。また、ヒロインのハーパー役、
ジェシー・バックリー出ずっぱりの女優映画だが、それ以上に、タイトルロール
であるロリー・キニアを愛でる映画だろう。
まずは、バックリーが2週間過ごすために来た、古い(500年と云う)屋敷
のあるロケーションがいい。丘陵地。森と草原。自然描写が極めて美しい。水が
滴る隧道(トンネル)の緊張感。エコー(コダマ)の効果。あるいは森の向こう
の教会。教会の信者席の前にある。石の台座(祭壇)の意匠。真実の口みたいな
男の顔(グリーンマンというらしい)。その裏は女性とその外陰部が描かれてい
る。この表と裏の意匠は終盤で別のかたちで画面化されるのだ。
結局バックリーの滞在期間は3日ぐらいか。その間の出来事と、いくつか挿入
される、彼女のフラッシュバック(回想)で構成される。この回想は、死別した
夫ジェームズ−パーパ・エッシードゥとの別れ話と喧嘩の顛末だが、小出しにさ
れるので、ちょっと焦れったく感じられてくる。
なんと云っても圧巻なのは、滞在2日目の夜の怒涛のロリー・キニア攻撃の部
分なのだ。この一連のシーケンスを通じて、屋敷の玄関にある、人感センサーに
よるライトの点灯消灯がとても効果的だ。この長いアクション(?)の連打の中
でも、玄関扉の郵便受けの使い方は、とびっきり、ぶっ飛んでいるだろう。こゝ
は元夫ジェームズの左手と鉄柵を想起させる。カラスにブロンド女性のお面、っ
ていうのも笑うが、グリーンマンの登場と、都合3回見せられたのか?女性の外
陰部イメージも常軌を逸しているのだ。そして、バックリーが途中から呆れ顔に
なって、全く怖がりもしない、という演出が私は好き。これも、全く普通じゃな
い、この監督の太々しさだと感じた。一番上で、理屈を反故にする、と書いたの
は、この辺りを指している。
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