舞台は北海道に始まり、福岡〜深セン〜宮古島〜北海道と推移するが、実はト
レイラーなどの印象で、もっと世界をまたにかけたお話かと想像していた。まず
はとにかく、主人公−二宮和也の、移動を余儀なくされる状況設定やモチベーシ
ョンの弱さ緩さが「はいはい、こういう体(てい)で見てね、ということだよね」
と思いながら見ざるを得ないもので、観客に甘えている日本映画の典型だろう。
しかし、だからと云って面白くないか、と云うと、緩さを許容しながら見たなら
ば、まあまあ楽しんで見ることができる出来ではある。
まず、良い部分をあげよう。二宮とタングの出会いが家の裏庭ということなの
だが、これが予想以上に広い敷地であり、隣が牧場で馬が放牧されている、とい
う設定は好き。良い画面を導く。続いて、妻−満島ひかりから追い出された二宮
が、タングを修理するために旅をすることになるけれど、ずっと赤いジャンパー
を着ている。これもいい。私はジェームズ・ディーンを想起した。ついでに云う
と、二宮のコーヒー好きという嗜好について、後半も何か機能させることができ
れば良かったと思う。あと、登場人物では、福岡のアトビット社で出て来るナル
シストの京本大我のキャラは良いと思った。また、それ以上に、深センの場面の
奈緒がいい。この人、こういうキャラも上手いのだ。タングの略奪及び奪還のア
クション場面は奈緒も含めてユル過ぎる描写だけれど、奈緒の早々の退場は、惜
しいと思った。京本や奈緒を後半も絡めることができる作劇なら良かったのに、
と思う。あと、満島については、キャラクター自体は悪くないが、終盤の彼女の
行動(及び心変わり)を描く部分は、編集がイマイチだと思った。
さて、良い部分をあげようと云いながら、けっこう残念な部分も書いてしまっ
たが、マジで宜しくないと思った部分をあげつらうとキリが無くなってしまうの
で、できるだけ簡素に記述したいと思う。例えばコンピュータ処理の本邦のクォ
リティなんて部分はいちいち記載しない(勿論、さらなるブレイクスルーが必要
と思うけれど)。やっぱり、アクション演出、あるいは、そのお膳立てとしての
人物造型がお座なりな点が私としては真に幻滅してしまう部分だ。人物を上げる
と、武田鉄矢、山内健司、濱家隆一、小手伸也らにまつわる諸々の造型は、こと
ごとく甘過ぎると思う。山内と濱家を、もっとシリアスな、映画らしい人物とし
て扱っていたなら、かなり違っていたと思うのだが。
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