本作も前半はいいと思う。特に、序盤のモーターショーのシーンにおける、ヒ
ロイン・アレクシア−アガト・ルセルの、ビンテージ・キャデラックの上での煽
情的なダンスは、見事なものだ。この後の、乳首ピアスに髪がからむシャワー場
面の痛さの感覚も素敵。さらに猟奇的な殺人シーンを挟んで、キャデラックとの
セックスシーンは、車体が飛び跳ねるのに笑ってしまった。というワケで、ツカ
ミはバッチリ、という出だしなのだ。
その後も乳首ピアス娘とそのルームメイトたちへの酷い仕打ちや、実家の炎上
などの見せ場を繋ぐが、本作の意味不明な理屈抜きの展開、変態性や痛覚の定着
は、後半になると、ほとんど治まってしまうのだ。アレクシアが自身の鼻をへし
折るあたりまでだろう。消防隊を舞台にするプロットになってからは、彼女もず
いぶんと、しおらしくなる。代わって消防隊長のヴァンサン−ヴァンサン・ラン
ドンが、よく分からないエキセントリックなキャラクターとして君臨するように
なるのだ。
アレクシアは、ヴァンサンの愛にほだされた、というか、真実愛し合うように
なった、という解釈が正しいように思えるが、ヴァンサン・ランドンの圧倒的存
在感に、主演女優が負けてしまったかのようにも見えてしまうのは、宜しくない
ところだと思う。ラストにも、もっとビジュアル的な驚きが欲しかった。予定調
和とまでは云わないが。
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