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『DUNE/デューン 砂の惑星』
(ドゥニ・ヴィルヌーヴ,2020)

 まず、邦題にも「パート1」、あるいはそれが分かる言葉を付けるべきだろう。
本作単体では、途中感満載で終わる、ということを事前に観客に示しておくべき
だ。それでも、本作単体として、映画館で見る価値のある作品なのだ。実に見応
えのある映画だ。圧倒的なビジュアルの力。それは、美術装置のデザインの力が
大きいが、それ以上に、まずは、被写体としてのティモシー・シャラメをずっと
見ていたいと思う。それぐらい魅了された。砂漠や海岸の広大なイメージと、巨
大な飛行物の緩慢な動き。この緩慢さの威圧感が映画的だし、天井のある建物、
洞窟といった装置が、圧迫感を醸成し、緊張を持続させる。

 シーンで特筆すべきは、まず、教母=シャーロット・ランプリングとシャラメ
が二人きりになってからの、手の苦痛のシーン、こゝは何が行われているかよく
分からないのだが、凄い緊張感なのだ。また、シャラメの母親=レベッカ・ファ
ーガソンが、その能力を発揮(暴露)する演出もカッコいい。ジョシュ・ブロー
リンとジェイソン・モモアという二人の勇士の扱いも良く、医師役のチャン・チ
ェンが重要な役割を担っているのも嬉しかった。また、悪役としてのステラン・
スカルスガルド=ハルコンネン男爵のふざけた造型も出色の出来だと思う。ある
いは、羽ばたき機(オーニソプター)が巨大な砂嵐へ突入する部分。翼が壊れて
いく飛行シーンのスリル。

 ただし、シャラメの夢のイメージ挿入は多過ぎるように思う。それに夢の中の
フレメン族の女、ゼンデイヤが思わせぶりなだけで、いまいち魅力に欠ける、と
私は思う。ゼンデイヤおよびハビエル・バルデムの活躍はパート2のお楽しみ、
ということなのだろう。

《以下、ネタバレ注意!》

 終盤のフレメンの男ジャミスとの対決では、シャラメの夢のイメージを覆す。
この展開の「ひねり」は、確かに、本作の満足感に繋がっているのだが、しかし、
同時にこんな「ひねり」って、有りか(ずるくないか)?とも思ってしまう。夢
によってジャミスの動きが予測可能だったのだ、ということかも知れないが、見
ている際には、単純に夢はフェイクだったのか、と感じてしまった。「夢は現実
になったり、ならなかったり」という伏線となる前半の科白も、周到と取るか、
狡猾と取るか。あと、相変わらず音、音楽がうるさい。無音のシーンをもっと増
やしていい。