オープニングから序盤は、本当にワクワクする。雪の積もった森の上空を真俯
瞰移動撮影。マシンガンを持った男が歩いている。雪の中のロッジのような家。
凍った湖の下から引き上げられる少女のカットから、海中を飛び出すレア・セド
ゥへのマッチカッティング。いいなあ。舞台は世界遺産の町マテーラへ。過去を
燃やす、という本作のテーマが早々に具現化されて描かれ、ヴェスパー(エヴァ・
グリーン)の墓地から続く、古い街並みでのカーチェイスは文句なく興奮する。
アストンマーチンの装備の見せ方も実に楽しい!
続く見せ場、キューバのサンチャゴのシーン。現007のラシャーナ・リンチ
もいいけれど、3週間の速成工作員、アナ・デ・アルマスのアクションが最高じ
ゃないか。『ナイブズ・アウト』でダニエル・クレイグに引き抜かれたのだろう
か。「いい腕だ」なんて誉めるのだから。全編で彼女の出番は、尺の割には一番
のパフォーマンス、最も印象に残る、もうけ役かも知れない。というか、正直、
私のように、アルマス目当てで本作を見る(007ファンではない)映画ファン
も多いわけで、この特別出演的待遇にはとても満足。
その後も、ブロフェルド−クリストフ・ヴァルツとの対決や、森の中の家(冒
頭の家)から、セドゥの娘を連れて脱出するシーケンス、ランドローバー、バイ
ク、ヘリまで加わってのチェイスシーンなど、なかなかの見せ場を繋ぐのだ。
ところが、後半、日本と揉めているロシア領の島へ舞台が移ってからが、まさ
かの失速だ。ま、この荒唐無稽さが、嘘っぽいが楽しいとも云えるのだが、日本
庭園の砂紋のイメージと、毒々しい植物のミスマッチが不快だし、使用人たちは、
昔のハリウッド映画の日本人=庭師イメージが抜けてないように感じられてしま
った。ラスボスのラミ・マレックのお喋りも冗長だ。
ただ、ラスト近くの階段通路の銃撃戦かつ肉弾戦の長回しは見事です。鉄のド
アが、ワンカット内の手榴弾の爆発で穴だらけに変化していたのは、CGだろうが、
このカットの終結部分で、敵と一緒に背中から階段を落ちるのは、クレイグ本人
がやっているように見える。なのに、満を持して現れたマレックが、生身の格闘
スキルは全く持ち合わせていない(いや披露しなかっただけなのか)、という演
出には、呆気に取られてしまいました。
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