行き当たりばったりというか、皆でブレインストーミングでもした結果を取捨
選択して適当に繋いだだけ、という感覚を持たせるが、多分、かなり考え抜かれ
たプロット展開と演出なのだと推測する。この当時のリチャード・レスターの、
もう「芸」といっていいのでないか。今見ても面白い。ただ、フォーカスの演出
(フォーカスアウト、フォーカスイン)を繰り返す部分は、落ち着きがなく、私
は好きじゃない。
プロモーションビデオ風の楽曲シーンの背景が、必ず次のシーケンスの舞台に
繋がる、という一貫性が、周到さを感じさせる一つの理由だ。唐突にアルプスへ
旅立ち、雪の中でスキーやソリ遊びをしながら、"Ticket to Ride"を唄うが、唄
い終わると、雪山を舞台に、追っ手たちとの追跡劇になる、というようなことだ。
中でも、"I Need You"と"The Night Before"の2曲の演奏がある、広い野原(ス
トーンヘンジのカットがある)の戦争映画ごっこ場面は見応えがある。兵士や戦
車は、賑やかしかと思っていたら、けっこう真面目に戦争シーン演出を見せるの
だ。砲撃。ハンディカメラ。空撮もある。
追っ手たち、クラン導師のレオ・マッカーンとその助手?の女官アーメを演じ
るエレノア・ブロン。マッドサイエンティストのコンビ、ヴィクター・スピネッ
ティ博士とロイ・キニア。いずれもいい味を出していて、楽しめる。エレノア・
ブロンが初めからどう見ても、導師を裏切っているとしか思えない、ふざけた行
動ばかりし、各シーンで衣装をとっかえひっかえしている、あるいは、カメラ目
線でウィンクするカットがあったりと、ビートルズだけでなく彼女のプロモーシ
ョン映画のような趣きもある。
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