二人の少女のペンシルバニアからNYへの旅。原題は、NYでのカウンセラー
の質問に対する4つの選択肢だ。このシーンには本当に心揺さぶられる。4択の
質問に入るまでは、主人公のオータム(シドニー・フラニガン)とカウンセラー
は、それぞれバストショットで切り返されていたのだ。4択質問になってからは、
オータムだけが長回しで映され、カメラは彼女を凝視する(いや我々は彼女を凝
視させられる)。そこに極めて優しい口調で4つの選択肢が何度も繰り返される
のだ。
上に書いたシーンがハイライトとして極まっているが、全編に亘ってポイント
を絞った科白の使い方と、被写体を厳しく客観視する撮影が見事だ。また同時に
主人公たちを一個の人間として、尊重する眼差しも感じられるのがいい。
さらに、オータムの側にずっと寄り添い、NY滞在が2日延びたことにもほと
んど文句も云わない、いとこ(タリア・ライダー)の描き方が実にいいのだ。こ
の子の容姿が(オータムに比べて)とても可愛いらしいのも効果を発揮する。と
いうか、彼女のカットはずっと「可愛いなぁ」と思いながら見てしまったのだが、
そういう意味では、作劇上の効果(劇中の男の目をひきつける)と共に、私には
自分自身の視点をかえりみさせられる、という効果も感じられた(特に、セクシ
ャルな視点で見ているわけではないとしても、男としての視点をつきつけられる
感じがした)。いや、純粋に映画ファンとして、タリア・ライダーという女優も
(シドニー・フラニガンともども)、これからが楽しみだと思う。
あと、二人のバイト先(グロッサリーストア)の店長(?)のセクハラ描写は
ちょっとやり過ぎ、というか醜悪過ぎるんじゃないかと思った。こんな人、いま
だによくいる、ということなのかもしれないが、映画としてどうか、という意味
で、違和感を覚えた。また、邦題にも違和感がある。私には、この映画は、彼女
たちが見た世界を描いているのではなく、彼女たちの状況を(我々が)見つめい
ている、と思えるからだ。言葉のあやのようなものに過ぎないかも知れないが、
しっくりこない。原題は一生忘れないが、邦題はすぐに忘れそうだ。
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