映画においては、バスは常に現実を異化する装置だ。そして本作は、無くし物
とその発見の映画。バスがその起点となる。
ヒロインのヤン・シャオチー(リー・ペイユー)は郵便局の窓口で働いている。
同僚(ヘイ・ジャアジャア)とのやりとりが楽しく、もう冒頭で彼女のキャラに
魅了されるキャラクタリぜーションだ。例えば30歳ぐらいの年相応に見えるカッ
トと、10代ぐらいにしか見えないカットが混在する。せっかちな性格付けの所為
もあるだろうが、表情がよく変わっていい。
狭い部屋と窓外を使ったファンタジー処理も可愛い。窓外のラジオブース、部
屋で唄い踊るミュージカル処理、そして、クローゼットのヤモリの親爺の幻想。
この親爺とのやりとりが、潜在記憶を呼び起こすというプロットの繋げ方も周到
だと思う。
ただし、ストップモーション以降、バスで海辺の道を走る場面のドローン俯瞰
あたりまではいいが、砂浜での写真撮影は、だんだんクドイと思えた。こゝから
始まるバス運転手ウー・グアタイ(リウ・グァンティン)の行為がキモイ、とい
う意見を、ネット上で見かけるが、その感覚は私も理解できるけれど、ファンタ
ジー映画として、あるいはそのコメディパートとして、受容できるレベルだと思
う。それはそうとして、描写がクドイ、もっと簡潔でいいと感じた、ということ
です。対して、エピローグ的なエンディングの簡潔さ(説明の無さ)、唐突さは
好ましいと思う。唐突な泣き顔が感動的だ。
#エンドロールでも流れる英語歌詞の歌が気に入ったので、調べると、ヒロイン
のリー・ペイユーが唄っているのですね。
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