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『KCIA 南山の部長たち』
(ウ・ミンホ,2020)

 場面で云うと、ワシントンD.C.とパリ、フランスのシーンがいいと思う。米首
都では遠景のオベリスクを上手く取り込んだ構図の選択が目を引く。フランスの
場面では、ヴァンドール広場での活劇シーンの演出がいい。風もないのに落ちる
帽子。同時刻、ソウルの大統領とキム部長たちは、児童舞踏団の観劇中だが、2
つのシーンを、これみよがしなクロスカッティングにしない、というのもいいの
だ。てっきり、パリのアクション場面と児童舞踏団の演目を、交互に繋いで音楽
を効かせる、よくある(ありきたりな)カッティングにするのかと予想してしま
った。さらに、パリ郊外でのパク元部長の逃亡と森の中の銃撃もいい。つまりは、
この映画、パク元部長が面白かったと思う。彼が退場すると、ちょっとテンショ
ンが下がってしまった。

 警護部長の部屋に乗り込んで喧嘩し、お互いに銃を取り出して脅し合う場面や、
雨の中、会食場所に忍び込んで、大統領と警護部長との会話を盗聴する、なんて
部分は、こりゃあフィクションなのだろうな、と思ったが、真実は定かではない。
しかし、キム部長の私憤の描写が強調されるのは、宜しくなかったのではないだ
ろうか。警護部長はともかく、キム部長、イ・ビョンホンも、底の浅い人物に見
えるのは趣旨と反するのではないか。結局、役者では、大統領役のイ・ソンミン
が、一人勝ちしたように思う。