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『Swallow/スワロウ』
(カーロ・ミラベラ=デイヴィス,2019)

 美しい色遣いと、細部の見せ方が楽しい。ヘイリー・ベネットの後ろ姿、ボブ
ヘアーのカットから始まる。画面奥には川。彼女は自宅のバルコニーに立ってい
るのだが、高台の邸宅で、バルコニーから川と欧州的な風景が見える(ロケ地は
NYのようだが)。この高低感もいい。ちなみに邸の外観は、最後まで出ない。
強いて云えば玄関前からのカットぐらい。題材的要請もあり、細部の描写に注力
されている。
 タイトルは嚥下の意味だが、それも含めた触覚の映画だ。物をつまんだ手触り、
唇、舌、口腔内、さらに体内(喉、胃、腸、肛門)における感触。あるいはハグ。
使用人のルエイの手。土の柔らかさ。だが、胎児の感触は希薄なのだ。よくある
お腹を蹴る、というような描写もない。

 ベネットの病気の原因は、表面的には、夫やその両親、会社関係者も含めた、
現在のコミュニケーション上のストレスとして描かれる。終盤、過去のトラウマ
への対処のシーンが唐突にクライマックス的位置づけで挿入されるのだが、この
トラウマと病気との関係は明確ではなく、仄めかしにとどまっている。曖昧では
あるが、理屈っぽくないところは、私の好みだし、品があると思う。胎児も自分
と同じく望まれた子ではない(特に母親にとって)、ということに思いが及ぶけ
れど、それは単なる深読みに過ぎない。

#エンドロールのバックは、女子トイレ内の定点カメラ風映像だが、皆ハンカチ
 で手を拭かないことに驚きました。