戻る

『mid90s ミッドナインティーズ』
(ジョナ・ヒル,2018)

 これぞ、16ミリフィルムの質感・触感。私には、90年代というよりも70年代の
質感じゃないか、と思えるのだが、しかし、これぐらいでちょうど良いのかも知
れない。ジョナ・ヒルにとっての感覚なのだ。「mid90s」って、つい最近の気が
するが、よく考えると、もう四半世紀も前なのだ。

 主人公のスティーヴィー(サニー・スリッチ)が廊下の壁にぶつかるカットか
ら始まる。兄のルーカス・ヘッジスに殴られる。こゝらへんの最初の効果音が大
きい。ちょっと誇張し過ぎ。しかし、つかみのショットとしては悪くない。ステ
ィーヴィーのスケートボード仲間は四人。人種と貧富の多様性に配慮したメンバ
構成なのは現在的か。しかし、皆良いキャラクターだ。黒人のレイが、プロ級の
腕前で、一番カッコ良く描かれる。白人で裕福な家庭のファックシットとの対比。
でも、女の子に一番モテるのはファックシット。メキシカンのルーベンは家庭に
問題がある(母親が薬物依存で虐待している)。しかし、一番の貧困層で、イマ
イチ影の薄いフォースグレードに、ジョナ・ヒル自身は投影されているのだろう。

 結局、個々のメンバの問題が何も解決しない宙ぶらりんなラストも良いと思う。
しかし、フォースグレードの才能も、プロを目指せるレベルじゃないかと思わせ
る、ある意味落ち着きの良いエンディングだ。