新たな鮫映画の佳作だ。ジェイソン・ステイサムの生身のアクションが最大の
見所なのだが、細かな演出的配慮も、とても良く出来ている。例えば、視線の交
錯や所作の合図が何度も何度も出てくる。ガラス等(潜水艇の窓やプラスチック
製シャーク・ケイジ)を隔てて情感を盛り上げる場面も多い。特にステイサムと
リー・ビンビンと、その娘の三者間で何度もある。そもそも、これくらいの幼い
子供(8歳だったか)が全編にわたって現場にいる、という設定がいい。
あと、本作は結局ステイサム一人が、良いところ、カッコいいところをさらっ
ていく映画であることは間違いないが、一方、プロとしての個人とチームの映画
でもある。例えば、仲間のために自らの命を犠牲にする、というモチーフが3度
も出てくる。このあたりを胡散臭いと云ってしまえば身も蓋もないが、ステイサ
ムただ一人が本作を背負って立っている、という印象を与えない作りになってい
る。あるいは、通常、もっともっと卑劣漢に描かれることの多い、部外者的な位
置づけの資本家レイン・ウィルソンでさえ、真の悪党としては描かれない。研究
員のリーダ的存在であるマック(クリフ・カーティス)は、何もしないようでい
ても存在感があるし、女性エンジニアのジャックス(ルビー・ローズ)も同様だ。
さらに、前半で退場するトシ(マシ・オカ)について、後半に至っても、チーム
内で複数回言及される、というのも気が利いていると私には感じられる。
(マシオカについては「日本人を軽んじている」という見方の正反対だと私は
思う。この重要な役を日本人の設定にした、ということのバランス感覚を考える
べきだろう。)
尚、本作の撮影者はトム・スターンだ。やはり、屋内シーンの美しさに、感嘆
した部分が多くある。例えば、ステイサムが、海洋研究所「マナ・ワン」に参加
し乗り込んだ潜水艇の中で、唐突にビンビンの娘が現れ、二入で会話するシーン。
こゝの色遣いは絶妙。それから、この娘が、背中に小さな羽を付けて、「マナ・
ワン」の中を歩き回るシーン。
|