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『SING/シング』
(ガース・ジェニングス,2016)

 私にとっては、物質的な質感のホンモノらしさがいちばんの驚き、見所か。洪
水のシーンの水の質感など。縦横無尽なカメラの視点、その設計も驚愕もので、
最初は目を瞠ったのだが、アニメーションなのだから、どんな制約も無くやれる、
と思えば昂奮も薄れてくる。劇場の瓦解は大げさ過ぎるが、過剰さは美点と思う。
 プロット構成は、全体に予定調和の感がかなり強い。10万ドルが手元にない、
ということも、劇場の瓦解も、なんかどうでもよくなる話の運びは、いい加減だ。
ゴリラのジョニーとその父親の関係を筆頭に、キャラクター造型にも深みは無く、
薄っぺらい。ま、そんな欠点をあげつらうのは野暮の骨頂で、歌唱シーンのカタ
ルシスが欠点を帳消しにする部分は大きい。

 ネズミのマイクはブレない一貫性があり一番いいと思った。「My Way」歌唱時
の画面のケレンが本作の白眉ではないか。あと、イグアナのミス・クローリーが
いいキャラ。

#マイクとその彼女がクラブに入り、クマとポーカーをするシーンで『ソーシャ
 ル・ネットワーク』で見たような移動撮影まがいのカットがある。ダンスする
 フロアの俯瞰から上昇移動し、上階席の手すりの下をカメラが通ったように見
 せる。