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『A.I.』
(スティーヴン・スピルバーグ,2001)

 まず、キューブリックの呪縛から解放されてこの映画を見ることが肝要だと思
う。つまり「キューブリックだったらどうやったか」というようなことを考えな
がら見てはいけません。私は見る前にそう自分にようく云い聞かせて見ました。
「これは所詮スピルバーグ映画なのだから」と。

 しかし、母親がデイビッドを森の中に置き去りにするシーンで、また相も変わ
らぬ車のサイドミラー演出を見せられた時にはがっかり。母親の心の動きをきち
んと演出しない癖に『激突』のトレーラーや『ジュラシック・パーク』のチラノ
ザウルスと同じ見せ方でお座なりに済ますなんて。それから続く「満月」の演出
なんかは悪くないと思うけれど、ジャンク・フェア(フレッシュ・フェア)のシ
ーンはスピルバーグらしい品の無さ、慎みの無さ、さらに云えばビジュアル・セ
ンスの無さ。このシーンはスピルバーグ監督作の中でもずば抜けて嫌らしいシー
ンだ。ジュード・ロウ演じるジョーはちょっと魅力的なキャラクターだが、彼の
退場のさせ方も非道い。

 海底のコニーアイランドでのブルー・フェアリーの造型なんかはとても良いの
だが、多くの人が指摘している通り私も2000年後のシーンは蛇足だと思う。